病みえ8-4立ち読み
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ボウマン腔ボウマン腔●糸球体係蹄壁が破綻して,血中の赤血球や蛋白質(アルブミンなど)が漏れ出す.●係蹄壁の肥厚●細胞増殖症候診断●浮腫や脂質異常がみられる.●ネフローゼパターンによる腎障害は,症候診断として●病変の広がりはびまん性で,蛋白質が漏れ出る表面積が大きいため,高度蛋白尿を呈し血清アルブミンの低下をもたらす.●高血圧や血清アルブミンの低下がみられる.●腎炎パターンによる腎障害は,症候診断として急性腎炎症候群,急速進行性腎炎症候群,慢性腎炎症候群などを呈する.●腎炎パターンは,腎炎所見の分布(広がり)により,さらにびまん性と巣状に分けられる〔次項〕.●内皮細胞の腫大・増生や毛細血管内の白血球の浸潤がみられる.●血管内腔が狭小化するため,GFRやNa排泄が低下し,浮腫や高血圧を呈する.●腎炎所見の分布(広がり)は,血尿・蛋白尿の程度や臨床症状,経過(症候診断)と関連している.●糸球体の毛細血管外(ボウマン腔内)に細胞性半月体の形成(単球や白血球の浸潤,ボウマン囊上皮細胞の増殖)を認める.●びまん性を呈するものには,管内増殖性糸球体腎炎と半月●腎生検で得られた糸球体のうち,50%●軽微な血尿・蛋白尿がみられるが,浮●初期には腎機能の低下はみられないが,●アミロイド腎〔症〕:amyloid kidney/renal amyloidosis ●高血圧性腎硬化症:hypertensive nephrosclerosis ●糸球体係蹄壁/糸球体毛細血管壁:glomerular capillary wall ●足細胞:podocyte ●ボウマン腔/ボーマン腔:Bowman's space ●内皮細胞(EC):endothelial cell ●メサンギウム細胞:mesangial cell ●ボウマン囊上皮細胞/ボーマン囊上皮細胞:parietal epithelial cell of Bowman's capsule ●基底膜:basement membrane ●二重化:reduplication ●スパイク:spike●糸球体疾患における腎障害には,糸球体係蹄壁〔p.8〕の破綻による腎炎パターンと,糸球体係蹄壁の透過性亢進によるネフローゼパターンの2つがある. Advanced Study 腎炎所見の分布と症候診断●糸球体腎炎における腎生検像は,腎炎所見(細胞増殖など)の分布(広がり)により,びまん性と巣状に分けられる.腎炎パターン血尿,蛋白尿糸球体係蹄壁の破綻蛋白質係蹄壁の破綻数年後高度蛋白尿急性腎炎症候群急速進行性腎炎症候群無症候性蛋白尿・血尿慢性腎炎症候群127尿所見病態機序病理組織学的所見(光学顕微鏡像)■内皮細胞やメサンギウム細胞など(管内増殖性糸球体腎炎)■ボウマン囊上皮細胞など(半月体形成性糸球体腎炎)■メサンギウム細胞など(メサンギウム増殖性糸球体腎炎など)特徴びまん性●腎生検で得られた糸球体のうち,50%以上に腎炎所見がみられる.●血尿・蛋白尿がみられ,浮腫や高血圧を呈する.体形成性糸球体腎炎がある.巣状未満に腎炎所見がみられる.腫や高血圧はまれである.数年持続すると徐々に低下してくる.ネフローゼパターン糸球体係蹄壁の透過性亢進(足細胞の機能異常など)●足細胞の機能異常などにより,蛋白質(アルブミンなど)の透過性が亢進して高度の蛋白尿となる.赤血球蛋白透過性の亢進■基底膜の二重化(膜性増殖性糸球体腎炎)■スパイク形成(膜性腎症)ネフローゼ症候群〔p.136〕を呈する.管内増殖性糸球体腎炎半月体形成性糸球体腎炎(管外増殖性糸球体腎炎)軽度の血尿・蛋白尿を認めるが,臨床症状や腎機能低下は認めない.年単位で血尿・蛋白尿が持続し,硬化糸球体の増加に伴い腎機能が低下する.Supplement腎炎パターンとネフローゼパターン

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