病8-3版_web立ち読み用
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●是正輸液:replacement fl uid ●維持輸液:maintenance fl uid ●生理食塩水:normal saline/saline solution ●乳酸リンゲル液:lactated Ringer's solution ●低張液:hypotonic solution ●ブドウ糖液:glucose solution ●血漿増量薬:plasma expander●是正輸液では水・電解質の欠乏量を算出し輸液するのに対して,維持輸液では1日の必要水分量を●是正輸液が必要となる患者は経口摂取が困難であることが多いため,同時に維持輸液も必要となる.是正輸液●是正輸液の内容は,患者の病態や欠乏している成分(水・電解質の種類)により異なる.*投与速度は60〜200mL/時で,患者の状態に応じて経験則的に決めることが多い.●実際の臨床では,患者の状態や合併疾患など様々な要素を考慮して輸液内容を調節する.また,輸●是正輸液では,急激な補正とならないようにするために,欠乏量を1日で補うことはせず,2〜3日●水・電解質バランス異常があり,経口摂取が不能な患者に対しては同時に維持輸液も行う.経口摂●脱水●電解質異常 など輸液療法輸液療法1日に必要な水・電解質を補給●経口摂取不能・4号液 115An Illustrated Reference Guide血漿増量薬 〔p.117〕膠質成分を含み,輸液分を血漿にのみ分布させることができる輸液製剤.その組成は製品により異なるが,組織間液から血漿へ水を引きこむ効果を期待できるものもある.大量出血時の代用血漿などとして用いられる.〔p.117〕輸液製剤の一つで,1/5等張液,術後回復液ともいう.生理食塩水を5%ブドウ糖液で約20%に希釈したものである(等張液:自由水=1:4).カリウム含有量がほとんどないため,腎不全患者や高齢者や新生児への輸液に適している. 目的の違いを理解する 是正輸液と維持輸液●水・電解質輸液には,是正輸液と維持輸液がある.●是正輸液は,その時点で欠乏している水分と電解質を補充する目的で行われる.●維持輸液は,経口摂取が不能あるいは摂取不足が予測される患者に対して,正常な体液バランスを 欠乏成分を補う 是正輸液維持する目的で行われる.算出したうえで今後不足するであろう水・電解質を輸液する.維持輸液不足輸液療法の中でも,救急の現場などで患者さんにまず初めに行う輸液を特に「初期輸液」といいます.多くの場合,初期輸液は是正輸液が中心となります.初期輸液においては,すばやく適切な輸液製剤を選択することが大切なので,p.118に例題を用意しました.輸液内容選択の基本的なながれショック状態である等張液(生理食塩水や乳酸リンゲル液など)を急速静注で投与液開始後も電解質バランスを適宜確認し,輸液内容を調節する必要がある.間かけて投与することが多い(ショックなどの高度欠乏の場合を除く).取が不能である限り,是正輸液を終えても維持輸液は継続する.ショック状態であるか循環不全や低ナトリウム症状が 目立つ等張液(生理食塩水や乳酸リン ゲル液など)を投与*その時点で欠乏しているものを投与する今後不足するものを予防的に投与するショック状態でない水・電解質の欠乏量を補充体液バランスが正常化する体液バランスが維持されるその時点で欠乏しているものを投与する 意識障害や口渇,高ナトリウム症状が目立つ低張液(5%ブドウ糖液や3号液 など)を投与*医師

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