病みえ8-4立ち読み
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収縮知覚神経異常興奮●前立腺肥大症(BPH):benign prostatic hyperplasia ●前立腺特異抗原(PSA):prostate specific antigen ●ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i):phosphodiesterase 5 inhibitor ●経尿道的前立腺切除術(TURP):transurethral resection of the prostate ●ホスホジエステラーゼ5(PDE5):phosphodiesterase 5 ●一酸化窒素(NO):nitric oxide ●サイクリックグアノシン3'-5'一リン酸(cGMP):cyclic guanosine 3',5'-monophosphate ●テストステロン(T):testosterone●前立腺の大きさは加齢によって増大し,50~60歳代では50%,80歳代では90%で●高度の排尿障害のあるBPH患者に抗コリン薬投与を行うと,急性尿閉をきたす可●BPHは,前立腺の腫大,下部尿路閉塞(膀胱出口部閉塞),下部尿路症状(頻尿,排尿困難など)〔p.301〕からなる臨床的な概念である.●これらの要素が全て認められるとは限らず,前立腺腫大の程度,下部尿路閉塞の程度,症状の強さは必ずしも相関しない.BPH:benign prostatic hyperplasiaBPHは排尿機能障害をきたしますが,同時に蓄尿機能障害をきたすこともあります.これは,尿道が圧迫され伸展することで尿道の知覚神経が異常に興奮し,脊髄反射を通じて排尿筋を収縮させることが原因の一つです.前立腺肥大下部尿路閉塞閉塞仙髄解説動画使い方➡巻頭p.xiv下部尿路症状排尿困難頻尿監修伊藤 一人質問票国際前立腺症状スコア(IPSS)とQOLスコア(IPSS-QOL) 〔p.315〕BPHに伴う下部尿路症状に関する質問票で用いられる評価指標.症状の頻度を評価するIPSSと,QOLを患者自身で評価するIPSS-QOLからなる.それぞれの合計点により軽症,中等症,重症に分類される.314NO-cGMP系 〔p.315〕正常な排尿時では,副交感神経から一酸化窒素(NO)が分泌され,これが前立腺の平滑筋細胞内のグアニル酸シクラーゼを活性化し,グアノシン三リン酸(GTP)から環状グアノシン一リン酸(cGMP)を産生する.このcGMPが最終的に膀胱頸部,前立腺,前立腺部尿道の平滑筋を弛緩させ,効率的な排尿が可能となる.TUR症候群 〔p.317〕経尿道的切除術(TUR)施術時に使用される灌流液(電解質を含まない等張液)が大量に静脈内に流入して生じる低ナトリウム血症のこと.症状として顔面蒼白,悪心,血圧低下などがある.近年は,灌流液に生理食塩液を用い,バイポーラ電極を用いて切除する(出血が少ない)TURが普及し,TUR症候群のリスクが減った.問診に用いる症状に関する質問を記したもの.対象とする疾患ごとに質問内容は異なる.症状の程度をスコアリングすることで,スクリーニングや診断のみならず,重症度評価や治療選択,治療効果判定に用いることができる.N40尿線途絶,尿閉などがみられる. ➡前立腺肥大症(BPH)を考える.治療●α1受容体拮抗薬,PDE5阻害薬,5α還元酵素阻害薬などの薬物療法が中心で,加齢に伴う前立腺移行領域の腺上皮および間質細胞の過形成(前立腺腫大)によって下部尿路閉塞が生じ,様々な下部尿路症状(頻尿,尿意切迫感,残尿感,尿勢低下,尿閉など)を呈するようになった状態.病因としてテストステロンなどの男性ホルモンが強く関与している.組織学的に腫大がみられる.能性があるため注意が必要である.医師前立腺の腫大正常肥大〈下部尿路症状〉❸直腸診で,表面平滑,硬結がない腫大した前立腺を触知する. 〈前立腺癌の除外〉❹血液検査で,PSAが基準値以内,または軽度上昇.❺超音波検査(経直腸,または経腹)で, 3つの要素がある 概念BPHの3つの要素intro.MINIMUM ESSENCE❶高齢男性に好発する.❷頻尿,尿意切迫感,夜間頻尿,残尿感,尿勢低下,移行領域主体の前立腺肥大を認める(前立腺容積↑).❻尿流動態検査で, 尿流率↓,残尿量↑.重症・難治例では経尿道的前立腺切除術(TURP)などの手術療法を行う.前立腺肥大症(BPH)

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