病8-3版_web立ち読み用
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●急性腎障害(AKI):acutekidneyinjury ●糸球体濾過量(GFR):glomerularfiltrationrate ●急性腎不全:acuterenalinsufficiency ●クレアチニン(Cr):creatinine ●血中尿素窒素(BUN):bloodureanitrogen ●カリウム(K):potassium ●ナトリウム(Na):sodium ●ナトリウム排泄率(FENa):fractionalexcretionofsodium/sodiumexcretionrate ●尿素窒素排泄率/尿素窒素排泄分画(FEUN):fractionalexcretionofureanitrogen ●急性尿細管壊死(ATN):acutetubularnecrosis●緊急性の高い状況(重度の高血圧,高カリウム血症,意識障害などの尿毒症症状〔p.220〕,うっ血性心不全,肺水腫による呼吸不全など)であれば,急性血液浄化〔p.235〕を行う.●慢性腎臓病(CKD)では腎臓のサイズが萎縮傾向であるのに対して,AKIでは正常●著しい乏尿(無尿)の場合,まず腎後性AKIを疑う.●腎後性AKIでは早期に尿路を確保することにより,腎機能の回復が期待できる.●腎後性AKIに対して尿路閉塞を解除すると,著しい利尿(閉塞解除後利尿)をきたし致死的になることがあるため,尿路閉塞を解除する際には尿量のモニタリングや水・電解質管理に厳重な注意が必要である.●腎前性AKI,腎後性AKIはともに腎性AKIに移行しうる.●より早期にAKIをとらえるために,好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)〔p.208〕,L-FABP〔p.26〕など様々な尿中マーカーが検討されている.206〔p.207〕(尿中Na/血清Na)÷(尿中Cr/血清Cr)×100で算出される値.糸球体で濾過されたNa量の何%が尿中に排泄されたかを示す.尿細管でのNa再吸収率の指標となり,健常者では99%が再吸収されているため,FENaは1%である.FENa低値は,Na再吸収の亢進を示唆し,腎血流量が低下する腎前性AKIでみられる.逆に,腎性AKIではNa再吸収能の低下により高値を示すため,これらの鑑別に有用である.〔p.207〕(尿中尿素窒素/血清尿素窒素)÷(尿中Cr/血清Cr)×100で算出される値.腎前性AKIでは腎血流量の低下を反映して尿細管での尿素窒素の再吸収が亢進し,FEUNは低値(<35%)を示す.利尿薬を使用している場合にFENaの代わりに用いられる.〔p.207〕様々な基礎疾患に合併して凝固系が亢進し,全身の細小血管内に微小血栓を生じて臓器障害が起こる病態.DICにより腎臓で循環障害が生じると,腎性AKIや腎皮質壊死〔p.174〕の原因になる.DICの原因となる基礎疾患には悪性腫瘍や敗血症が多い〔病⑤p.244〕.N17.0〜2N17.8〜9➡急性腎障害(AKI)を考える.治療原因の除去と全身状態の管理を行う.⒈原因疾患の治療や原因の除去(薬物など).⒉全身状態の管理として,栄養管理,水や電解質管理を中心とした保存療法,必要に応じて血液浄化療法.※腎後性では,尿路閉塞に対して外科的操作による尿路確保を行う.数時間~数日の間に起きる急激な腎機能低下(GFR低下)により,体液の恒常性維持機構が破綻し,高窒素血症,水・電解質異常,酸塩基平衡異常などをきたす病態.原因により,腎前性,腎性,腎後性に分類される.可逆的な腎機能障害であることが多いため,原因の除去により回復する可能性が高いが,生存率は50%前後と必ずしも良いとはいえない.従来,急性の腎機能低下(腎不全)は急性腎不全と定義されていたが,早期発見・治療の観点から,より軽症のものを含んだ急性腎障害(AKI)という疾患概念が提唱された.〜腫大化の傾向にある.腎後性では腎盂・尿管の拡張がみられる.〈原因により症状が異なる〉〈腎機能障害〉〈水腎症〉監修安田 隆ナトリウム排泄率(FENa) 尿素窒素排泄率(FEUN) 播種性血管内凝固(DIC) 横紋筋融解症 〔p.211〕外傷などに伴う筋組織の破壊によってミオグロビンなどの筋細胞成分が血中へ大量に流出し,臓器障害をきたす病態.ミオグロビンによって急性尿細管壊死(ATN)を併発し,これによりAKIをきたすことが多い.暗褐色尿を呈する.AKI:acute kidney injuryintro.MINIMUM ESSENCE❶急激な発症(数時間~数日).❷乏尿(ときに非乏尿性),全身倦怠感,食思不振,悪心,嘔吐,さらに原因に応じた症状がみられる.❸血液検査で,血清Cr↑,BUN↑,K↑を認める.❹腹部超音波検査で,腎臓のサイズは正常~やや大であることが多く,急性腎障害(AKI)

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