病6-2版_立ち読み
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●TSLP:thymic stromal lymphopoietin ●MDC:macrophage-derived chemokine ●インターロイキン(IL):interleukin ●ランゲルハンス細胞(LC):Langerhans' cell 週2回週2回●アトピー性皮膚炎は,皮膚のバリア機能異常を背景に,アレルギー性および非ア●アトピー性皮膚炎の治療は,スキンケアを継続的に行いつつ,炎症反応を抑制する外●慢性期ではTh1細胞を中心とした免疫反応が病態の主体となるという考えもある.免疫の異常●アトピー性皮膚炎における皮膚のバリア機能異常は,角質の保湿成分であるセラミドやフィラグリン〔p.40〕の発現が低下し,皮膚の水分量が低下することが原因である.●皮膚のバリア機能異常により,ダニや花粉,細菌などの抗原が侵入しやすくなり,Th2細胞優位の免疫反応や即時型反応〔p.39〕の機序で炎症反応が引き起こされる.●炎症やTh2細胞が分泌したIL-31によるかゆみ閾値の低下などにより瘙痒が引き起こされ,これによってさらに皮膚のバリア機能が障害されるという悪循環に陥り,難治性の病態となる.アレルギー性抗原アトピー性皮膚炎*Langerhans細胞由来のサイトカイン.樹状細胞に働きかけ,ケモカインの産生を促す.**Th2細胞に対して走化性(chemotaxis)をもつケモカイン.●寛解導入療法として,ステロイド外用薬などを重症度や部位に応じて使用する.●寛解導入できたが維持できない,または再燃を繰り返す場合には,プロアクティブ療法(明らかな症状がなくてもステロイド外用薬などを間欠的に使用する方法)を行う.●補助療法として,瘙痒に対する薬物療法や,患者教育,心身医学的療法も必要となる.●乳児期〜幼児期では食物抗原,幼児期以降は環境抗原の影響が大きい.●適切な入浴などで清潔を保ち,週1回週1回週3回症状の強さ●瘙痒対策として,抗ヒスタミン●環境因子や生活リズムなどの修正といった患者教育や,リラクセーション訓練や認知療法などの心身医学的療法も行われる. 低低刺刺せせ激激っっけけんん悪循環T細胞53An Illustrated Reference Guide Th2細胞を中心とした炎症反応 病態 スキンケアは継続的に 治療レルギー性の刺激に対して炎症反応や瘙痒を呈する疾患である.用療法(ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏の塗布)を行う.ランゲルハンス非アレルギー性引っ掻きなど表皮表皮角化細胞樹状細胞刺激分化スキンケア保湿剤を毎日使用する.補助療法薬などを使用する.TSLP**TARC,MDCなど****IL-4IL-13IL-5IL-31IgEの過剰産生を 誘導する.組織に好酸球浸潤 を引き起こす.かゆみ閾値を 低下させる.水分セラミドやフィラグリンの発現低下即時型反応ケミカルメディエーターマスト細胞外用療法かゆいカサカサTh2細胞優位の免疫反応Th2細胞皮膚のバリア機能異常炎症反応瘙痒:寛解導入療法:プロアクティブ療法経過

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