血液型と輸血療法A型…A型…A型…輸血療法●悪心・嘔吐●頭痛,頭重感●血管痛●動悸・頻脈●血圧上昇●血液製剤名●血圧低下●呼吸困難●意識障害●赤褐色尿●発熱●悪寒・戦慄●患者氏名(同姓同名に注意!)●血液型●交差適合試験の検査結果●有効期限●血液製造番号●放射線照射の有無 など輸血中・輸血後の注意点●輸血開始15分後に,再度状態を確認する.●輸血後も,TRALI〔p.313〕など重篤な副反応が起こる可能性があるため,継続的に状態を観察する.輸血実施時の注意点●不規則抗体:irregular antibody ●交差適合試験:blood cross-matching ●抗原抗体反応:antigen-antibody reaction ●主試験:major cross-match ●副試験:minor cross-match ●インフォームド・コンセント:informed consent ●スワーリング:swirling ●アナフィラキシー反応:anaphylactic reaction ●血圧低下:decreased blood pressure ●息切れ/呼吸困難:dyspnea ●意識障害:consciousness disorder ●輸血関連急性肺障害(TRALI):transfusion-related acute lung injury●輸血療法では,患者・血液製剤の取り違えや血液製剤に内在するリスクによりABO不適合輸血〔p.312〕や感染症といった致命的な副反応が起こりうる.また,患者に対するインフォームド・コンセントが不十分な場合,訴訟などのトラブルが生じることもある.●それらを防ぐために注意すべきポイントを次に示す.●患者が宗教的理由で輸血を拒否する場合は,病院の方針や関連ガイドラインに従い,免■□✓輸血の同意●輸血実施前には,輸血の重要性や副反応など,患者にもわかる言葉で十分な説明を行い,患者の同意を得たうえで,文書に残す必要がある.責証明書を作成したり,転院を勧告したりすることがある.■□✓血液の保存・保管●各種の輸血用血液を,それぞれ適した条件下〔p.307〕で保存・保管する.■□✓血液製剤の外観検査●色調の変化や凝集塊の有無,バッグの破損・開封による閉鎖系の異常などを確認する.●特に血小板製剤ではスワーリング〔p.306W〕の有無を確認する.■□✓1回につき1患者ずつ●輸血は一度に複数の患者に対して行わず,原則として1回につき1患者ずつに対して行う.■□✓患者検体の保存●輸血による感染症〔p.314〕が疑われた場合に備え,患者の輸血前の血液検体は冷凍し,可能な限り(2年間を目安に)保管しておく.■□✓徹底したダブルチェック●ABO不適合輸血などの輸血過誤を防ぐために徹底したダブルチェックを行う.●ダブルチェックは,医療従事者2人が指さしとともに交互に声を出して行う.血液製剤を受け取るとき輸血部スタッフ●各段階で①交差試験適合票,②血液製剤,③添付伝票,④患者のネームバンド(血液型バンド)を用い,チェック項目に基づいた確認を行う.■□✓患者の観察●輸血開始直後に観察される副反応にはアナフィラキシー反応など重篤なものが多いため,輸血開始後5分間はベッドサイドで患者を観察する.○山×男さん○山×男さんA型…異常ありませんお名前と血液型を教えてくださいスワーリング輸血を実施するとき輸血の副反応症状●熱感・ほてり●瘙痒感,かゆみ●発赤,顔面紅潮●発疹,じんま疹●胸痛,腹痛 腰背部痛※赤字は重篤な副反応の可能性大理解しました○山×男,A型です輸血を準備するとき医師チェック項目309An Illustrated Reference Guide参考:厚生労働省医薬・生活衛生局血液対策課:輸血療法の実施に関する指針(平成17年9月〔令和2年3月一部改正〕).2020+αもっとわかる トラブルを防ぐため 輸血実施時の注意点
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