●染色体異常:chromosomal abnormality ●フィラデルフィア(Ph)染色体:Philadelphia chromosome ●芽球:blast ●急性転化:blastic crisis ●微熱:slight fever ●腹部膨満感:abdominal bloating ●肝脾腫:hepatosplenomegaly ●白血病裂孔:leukemic hiatus ●好中球アルカリホスファターゼ(NAP):neutrophil alkaline phosphatase ●チロシンキナーゼ阻害薬(TKI):tyrosine kinase inhibitor●原爆被害者の追跡調査研究で,放射線被曝量に相関してCMLや急性リンパ性白血病(ALL)のリスクが上昇することが報告されていることから,CML発症の原因の一つに放射線被曝が挙げられる.●CMLでは血清ビタミンB12の増加がみられる.これは白血球の破壊により白血球内TdT CML:chronic myeloid leukemia監 修後藤 明彦インターフェロンαチロシンキナーゼアポトーシス 〔p.176〕個体をより良い状態に保つために起こる管理・調節された細胞の自殺,すなわちプログラムされた細胞死のこと.ネクローシス(壊死)と対立する概念である.アシミニブ 〔p.178〕2022年3月に承認されたCMLの治療薬.既存のTKIとは異なる機序でBCR::ABL1チロシンキナーゼを不活性化するため,既存のTKIに治療抵抗性・不耐容の患者に対する新たな治療選択肢として期待されている.172〔p.183〕抗ウイルス作用や抗腫瘍作用をもつ糖蛋白であり,ウイルス感染症や悪性腫瘍の治療に臨床応用されている.血液疾患ではCMLの治療などに用いられる.〔p.172〕アミノ酸であるチロシンにリン酸基を付加するリン酸基転移酵素の総称.細胞内の情報伝達に関与しており,がん細胞の増殖に重要な働きをしている.〔p.192〕DNAの3’末端に数個のヌクレオチドを付加する核酸合成酵素である.通常では胸腺細胞などの未熟リンパ球で認められるため,急性リンパ性白血病(ALL)のマーカーとして有用である.C92.1NAPスコア↓がみられる. 染色体異常(Pフィラデルフィアhiladelphia〔Ph〕染色体)をもつ造血幹細胞の腫瘍性増殖による疾患である.無治療の場合3~5年程度持続する慢性期を経て,芽球が著増する急性白血病類似の病態へ急性転化を起こし死亡する.Ph染色体をもつ異常造血幹細胞が分化能をもちながら腫瘍性に増殖し,各成熟段階の顆粒球が増加する.自覚症状に乏しく,初期は一般的に無症状である.治療によって急性転化を起こさせないことが重要である.に大量に存在するビタミンB12が逸脱するためである.〈自覚症状に乏しい〉〈CMLの病因〉intro.intro.MINIMUM ESSENCE❶50~60歳代に好発する.❷無症状のうちに健診などで偶然発見されることが多く, 進行例では,微熱,全身倦怠感,体重減少,肝脾腫による腹部膨満がみられる.❸末梢血検査で,各成熟段階の顆粒球↑↑↑,血小板↑がみられ, 〈白血病裂孔(-)〉〈急性転化期では↑〉❹染色体検査で,骨髄細胞のPh染色体を検出し,遺伝子検査で,末梢血白血球もしくは骨髄細胞のBCR::ABL1を認める.➡慢性骨髄性白血病(CML)と診断する.治療● チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を継続的に投与し,急性転化期への移行を予防する.CMLの慢性期慢性骨髄性白血病(CML)
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