●経口投与では副作用が強い場合●胃切除・消化器病変がある場合●鉄喪失が大量な場合●ビタミンC〔p.40〕●胃酸のpH⬇●経口鉄剤内服中には便が黒くなることや,便潜血検査(化学法)で偽陽性になる場合があることを患●胃酸のpH⬆●複合体の形成■タンニン*■テトラサイクリン系抗菌薬(相互に吸収を抑制)*日本茶などに含まれるタンニンは,多量に摂取しない限り鉄剤の効果に影響はないとされている.※鉄剤とキレートを形成することにより,セフジニルやキノロン系抗菌薬,甲状腺ホルモン製剤の吸収が減少する場合がある.●悪心●嘔吐●腹痛●下痢●便秘 など●鉄剤から遊離した鉄が消化管粘膜を刺激することで消化器症状を起こす.●鉄剤:iron preparation ●硫酸鉄:ferrous sulfate ●クエン酸第一鉄:ferrous citrate ●フマル酸第一鉄:ferrous fumarate ●クエン酸第二鉄:ferric citrate ●溶性ピロリン酸第二鉄:ferric pyrophosphate, soluble ●クローン病:Crohn's disease ●潰瘍性大腸炎:ulcerative colitis ●含糖酸化鉄:saccharated ferric oxide ●カルボキシマルトース第二鉄:ferric carboxymaltose ●酸化マグネシウム:magnesium oxide ●H2受容体拮抗薬:H2-receptor antagonist ●プロトンポンプ阻害薬(PPI):proton pump inhibitor An Illustrated Reference Guide■■■■■■■■●鉄剤は経口投与が第一選択である.●経口投与が適さない場合は経静脈投与(静注)を行う.●静注鉄剤として,より短期間に少ない回数で必要量を投与できるカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)やデルイソマルトース第二鉄(モノヴァー®)が承認されている.●慢性肝炎や肝硬変,発作性夜間ヘモグロビン尿症〔p.92〕の合併例では,鉄剤により病態が悪化するこ●鉄剤投与時には鉄の吸収率や鉄剤の投与に伴う副作用●空腹時やビタミンC併用時の鉄剤経口投与は鉄剤の吸収を高める一方,消化器症状が出やすい.鉄剤や併用薬の服用時間をずらす,消化管粘膜への刺激の少ない第二鉄製剤や十二指腸で作用する徐放タイプの鉄剤を用いる,食後や就寝前に服用するなどの工夫で副作用を軽減することができる.●静注鉄剤から遊離した鉄による副作用(悪心,嘔吐,アナフィラキシーショックなど)を生じること●静注で投与された鉄は体内に貯留しやすい.このため鉄剤の静注による投与においては,あらかじめ鉄クローン 第一選択は経口投与 鉄剤による治療経口投与 副作用と吸収率を考慮する 鉄剤投与の際の注意事項第一選択適応●第一選択使用する鉄剤●1日50〜500mg(薬剤によって異なる)●硫酸鉄,クエン酸第一鉄,フマル酸第一鉄,クエン酸第二鉄,溶性ピロリン酸第二鉄などを用いる.●通常は第一鉄製剤を用いるが,消化器症状が強い場合は,粘膜への刺激が少ないとされる第二鉄製剤の使用も考慮する.副作用適応例:Crohn病,潰瘍性大腸炎など使用する鉄剤●含糖酸化鉄では,総鉄必要量*を計算し,投与量を決定する.●カルボキシマルトース第二鉄,デルイソマルトース第二鉄では,添付文書に従い,投与量を決定する.*総鉄必要量(mg)=〔2.2×(16−Hb)+10〕×体重(kg)など,計算式は複数ある.に注意が必要である.鉄の吸収率を上げる因子消化管粘膜■空腹時鉄の吸収率を下げる因子■食後■酸化マグネシウム,H2受容体拮抗薬,プロトンポンプ阻害薬経静脈投与(静注)60吸収不良症候群 〔p.56〕腸管粘膜から吸収される栄養素の量が減少した状態をいう.消化管の切除や腫瘍,炎症性疾患などが原因となる.■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■〔p.56〕グラム陰性らせん状桿菌であり,胃粘膜に生息し胃・十二指腸潰瘍,萎縮性胃炎,胃癌の発症に深く関わっている.しばしば鉄欠乏性貧血の原因になる場合がある〔病①p.98〕.鉄欠乏を引き起こす詳細な機序は不明だが,要因としては■■■■■■■■■による消化管粘膜障害や胃粘膜萎縮に伴うビタミンCの吸収低下,胃内ビタミンC濃度の低下,鉄奪取能の高い遺伝子変異をもつ■■■■■■■■■の存在が考えられている.+αもっとわかるとがあるため鉄剤投与は控えるか慎重に投与する.経口鉄剤の場合 者にあらかじめ伝える必要がある.静注鉄剤の場合 があるため,緩徐に投与を行う.投与量を確認・計算したうえで必要量に達したら投与を打ち切ることが必要である.
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