●喘息の基本病態は慢性の気道炎症であり,複数の危険因子が作用●気道過敏性の亢進〔p.164〕,気道狭窄〔p.164〕,気道リモデリング〔p.165〕●これらの病態は症状のないときも常に存在しており,緩徐に進行し●喘鳴や呼吸困難を伴わず咳嗽が長く続く疾患として,咳喘息〔p.163W〕やアトピー咳嗽〔p.163W〕がある.●喘息は慢性の気道炎症を特徴とし,増悪によって起こる気道狭窄に●喘息の症状は主に増悪(発作)時にみられ,安定期にはほとんどみら●増悪は反復性で,安静時にも生じやすいことが特徴である.●安静時には増悪が生じなくても,運動,労作時に生じる場合がある.ケホケホ●短時間作用性β2刺激薬(SABA):short-acting β2-agonist ●胃食道逆流症(GERD):gastroesophageal reflux disease ●運動誘発喘息(EIA):exercise induced asthma ●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):non-steroidal anti-inflammatory drugs ●咳喘息:cough variant asthma ●アトピー咳嗽:atopic cough ●心臓喘息:cardiac asthma ●2型自然リンパ球(ILC2):group 2 innate lymphoid cellケホケホ●上気道感染症(かぜ症候群)●アレルゲン(ハウスダスト,●運動および過換気●気温・気圧の変化●アルコール ●薬物(NSAIDs,β遮断薬)●たばこなどの気道刺激物質●疲労やストレス●時間帯(夜間や明け方)●月経 ヒューピーピーゼーゼーヒューヒューピーピー喘息(気管支喘息)そうよう 〔p.163〕明らかな喘鳴がなく,163咳嗽のみを症状とするが,気道過敏性の亢進がみられる喘息.治療は通常の喘息と同様に,気管支拡張薬や吸入ステロイドが著効する.咽喉頭の瘙心不全による肺うっ血,肺静脈や肺毛細血管内圧の上昇,気道粘膜の浮腫,気管支の収縮により,喘息様の症状を呈した状態.本来の喘息とは異なり,聴診における肺下部の捻髪音(fine crackles)や胸部X線像での心拡大,肺うっ血などの所見をみることで鑑別する. 増悪を繰り返す 臨床像 複雑にからみ合う 病態より喘鳴や呼吸困難,咳嗽を繰り返す疾患である.れない.して発症する.が引き起こされることで喘息症状が現れる.て喘息の増悪を招く.喘息症状気道狭窄気道リモデリング 気道過敏性の亢進気道炎症An Illustrated Reference Guide免疫・アレルギー性肺疾患+αもっとわかる ヒュー増悪のトリガー(引き金)ペット,真菌類など)安定期気道過敏性の亢進気道狭窄咳喘息 アトピー咳嗽 〔p.163〕痒感を伴う長引く乾性咳嗽が特徴的な疾患で,アトピー素因を有する中年女性に多い.中枢気道に限局した好酸球性気道炎症と咳受容体感受性の亢進を病態とする.ヒスタミンH1受容体拮抗薬および副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド)の吸入または内服が有効であり,気管支拡張薬は無効.通常,喘息へは移行しない.アトピー素因 〔p.165〕アレルギー症状を引き起こしやすい遺伝的素因の一つ.アレルギー性の喘息,アレルギー性鼻炎などを家系に有し,IgE抗体を産生しやすい素因を指す.心臓喘息気道炎症気道過敏性の亢進危険因子〔p.165〕慢性の気道炎症気道リモデリングなど増悪時増悪時にみられる喘息症状は氷山の一角にすぎず,喘息の本態は水面下に隠れているのです.喘息症状夜間〜明け方に多い咳嗽呼吸困難喘鳴〔p.52〕気道狭窄気道炎症の悪化笛音(wheezes)〔p.50〕臨床像・病態・病因
元のページ ../index.html#15