病3-5版_web立ち読み用
30/34

●増殖能が高く浸潤しやすいが,ホルモンの分泌はほとんどない.●神経内分泌細胞は内胚葉由来の臓器や下垂体といった多くの臓器に存在するため,神経内分泌腫瘍(NEN)が発生する臓器は多岐にわたる.●NENのうち膵臓と消化管にできるものが約60%を占めており,膵臓にできるNENを膵神経内分泌腫瘍(PanNEN)〔p.314〕とよぶ.●ともに神経内分泌細胞に由来していることから,NENと多発性内分泌腫瘍症(MEN)との関連も示唆されている.●下垂体腺腫〔p.208〕肺●カルチノイド●神経内分泌癌〔病④p.254〕肺27.0%●ガストリノーマ〔p.318〕●インスリノーマ〔p.316〕など●胃NET ●直腸NET●ガストリノーマ など●神経内分泌腫瘍(NEN):neuroendocrine neoplasm ●神経内分泌腫瘍(NET):neuroendocrine tumor ●神経内分泌癌(NEC):neuroendocrine carcinoma ●カルチノイド:carcinoid ●膵神経内分泌腫瘍(PanNEN):pancreatic neuroendocrine neoplasm ●ガストリノーマ:gastrinoma 機能性NET●増殖して,ホルモンの過剰分泌による症状がある.神経内分泌細胞非機能性NET●増殖するが,症状が出るほどのホルモン分泌はない.虫垂 3.0%胃 6.0%膵臓 6.4%小腸17.2%土井 隆一郎ホルモン由来の症状ありホルモン由来の症状なしホルモン由来の症状なしその他16.0%大腸24.4%An Illustrated Reference GuideNETNECNET :■NEC :■NENの発生する臓器と割合神経内分泌腫瘍(NEN)悪性度低い高いホルモン症状ありなし下垂体膵臓消化管増殖増殖増殖参考:JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY 2008;26(18):3063-3072 NETとNECに分けられる 神経内分泌腫瘍(NEN)とは●神経内分泌腫瘍(NEN)は,神経内分泌細胞に由来して発生する腫瘍である.●以前「カルチノイド(がんもどき)」とよばれていた消化管神経内分泌腫瘍〔病①p.198〕も,現在はNENの1つとして扱われる.●NENは悪性度の低いNETと悪性度の高いNECに分類される.●NETの中で,内分泌機能の亢進によって症状が出現しているものを機能性NET,無症状のものを非機能性NETという.●NECは悪性度こそ高いものの,ホルモン分泌はまれである. あらゆる臓器にできうる NENが発生する臓器NENの主な発生臓器と種類312監修神経内分泌細胞 〔p.312〕ペプチドホルモン〔p.198〕を産生・分泌し,神経細胞との共通性が認められる内分泌細胞群.全身の様々な臓器に広く分布する.カルチノイド症候群 〔p.312〕NETが産生するセロトニン,ブラジキニン,ヒスタミン,プロスタグランジンなどの生理活性物質によって起こる多彩な症状をカルチノイド症候群とよぶ.主要な症状は,皮膚紅潮や下痢,喘鳴や右心不全症状などである.神経内分泌腫瘍神経内分泌腫瘍総論

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る