病3-5版_web立ち読み用
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甲状腺疾患甲状腺腫瘍●手術(甲状腺摘出+●図は健側葉上1/3を残した甲状腺亜全摘術.●放射線外照射療法●化学療法(分子標的薬)●手術●手術(甲状腺摘出+頸部リンパ節郭清)●放射線外照射療法●化学療法●甲状腺全摘術後でも,残存甲状腺組織(レムナント)が存在することがある.この残存組織の破壊・除去(アブレーション)目的*で,放射性ヨード内用療法が行われる.●分化型甲状腺癌の遠隔転移に対しても放射性ヨード内用療法が行われる.転移巣への集積があれば肺転移では寛解が,骨転移では予後改善が期待できるが,脳転移ではガンマナイフ療法〔病⑦p.502〕などの方が有効である.●甲状腺乳頭癌全摘後,頸部リンパ節に多発転移した症例画像.18F-FDG集積を認める.●多くの甲状腺腫瘍ではホルモン合成能は低下するため,腫瘍部は cold spotとなる.*残存組織が存在すると,血清サイログロブリン値による術後の経過観察が困難になる.さらにハイリスク症例では腫瘍の局所再発の危険性がある.●遠隔転移:distant metastasis ●FDG-PET:18F-fl uorodeoxyglucose-positron emission tomography ●多発性内分泌腫瘍症(MEN):multiple endocrine neoplasia ●褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL):pheochromocytoma・paraganglioma ●サイログロブリン(Tg):thyroglobulin18F-FDG99mTc甲状腺シンチグラム 甲状腺癌の画像所見 画像検査●甲状腺腫瘍は,正常組織と比べて放射性ヨードやテクネシウムの取りこみ率が低い.●乳頭癌や濾胞癌では集積することもあり,甲状腺全摘後に頸部リンパ節や遠隔転移巣の有無を測定するためにシンチグラフィ,PET検査が用いられる. それぞれの治療法を把握する 治療●甲状腺腫瘍では,組織診断を正確に行い,遠隔転移状況を把握したうえで病態に合った治療を選択する.●放射線治療には放射性ヨード内用療法以外に放射線外照射がある.●分化癌は131I以外の放射線感受性が低いため,現時点では外照射の適応症例は限られる. 残存組織や転移巣を破壊する アブレーションと放射線治療259治療法乳頭癌頸部リンパ節郭清)●遠隔転移例には放射性ヨード内用療法濾胞癌未分化癌髄様癌リンパ腫放射性ヨードカプセルの内用転移巣治療上の注意点一般に増殖は遅く,根治術が可能な場合が多い.所属リンパ節へは転移しやすいが,遠隔転移は少ない.ハイリスクと評価された例では,甲状腺全摘術が推奨される.1cm以下の微小癌では経過観察も行われる.原発巣が小さい場合でも肺・骨へ血行性遠隔転移することがある.転移巣がヨード摂取能を示せば放射性ヨード大量投与による内照射が有効.増殖が非常に速く,根治的治療が不能なことが多い.周囲組織への浸潤が強く,外照射や化学療法(分子標的薬)を組み合わせて行うが効果は乏しい.家族性の場合は両葉に発生してくるため,甲状腺全摘術を行う.MEN2〔p.320〕の場合,先に褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)〔p.308〕を摘出し血行動態を安定させてから行う.放射線治療と化学療法の組み合わせが主流だが,中には放射線治療が極めて有効な例がある.甲状腺全摘術後放射性ヨードを取りこむ残存甲状腺細胞または癌細胞β線により破壊される甲状腺亜全摘術An Illustrated Reference Guide

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