病3-5版_web立ち読み用
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●境界不明瞭で内部が不均質な充実性病変を認める.内部には石灰沈着による高エコー域が散在する.●境界明瞭で内部が均質な囊胞性病変を認める.❹甲状腺上1/3に好発し,超音波検査で粗大石灰化が認められ,●リンパ腫:lymphoma ●乳頭癌:papillary carcinoma ●濾胞癌:follicular carcinoma ●髄様癌:medullary carcinoma ●未分化癌:undifferentiated carcinoma ●石灰化:calcification ●癌胎児性抗原(CEA):carcinoembryonic antigen ●リンパ節郭清:lymphadenectomy甲状腺癌の外科治療は,欧米では全摘が多いなど,わが国と異なります.また国内でも切除範囲やリンパ節郭清の範囲は施設により異なります.An Illustrated Reference Guide内分泌専門医(甲状腺)濾胞性腫瘍 〔p.258〕良性の濾胞腺腫と悪性の濾胞癌を総称したもの.ともに濾胞上皮細胞由来で濾胞構造をもつ.濾胞癌は濾胞腺腫と鑑別しにくい濾胞構造を示すため,術前細胞診,術中迅速病理診断でも診断が困難である.病理診断が確定するまでは,濾胞癌と濾胞腺腫を区別せずに,濾胞性腫瘍として取り扱うことが多い.〔p.258〕代表的な腫瘍マーカーの1つ.消化器系の癌で上昇することが多いが,肺癌,乳癌,卵巣癌など様々な癌で高値となる.C 73intro.MINIMUM ESSENCE❶表面は不整で硬く,超音波検査で微細多発石灰化がみられる. 良性腫瘍と悪性腫瘍の特徴 頸部超音波検査●触診により甲状腺に結節性病変を認めた場合,その内部構造や結節周辺の所見を得るには頸部超音波検査が最も有効である.CEA thyroid cancer低監修西原 永潤258➡甲状腺乳頭癌を考える.❷表面は平滑で弾性,超音波検査で境界部低信号を伴う充実性の腫瘍がみられる.➡甲状腺濾胞性腫瘍(濾胞癌/濾胞腺腫)を考える.❸高齢者で,急速に増大する,表面不整で硬い,圧痛を伴った充実性の腫瘤を触れる.➡甲状腺未分化癌を考える.採血でカルシトニン,CEAが高値を示す.➡甲状腺髄様癌を考える.❺急速に増大するびまん性あるいは結節性の甲状腺腫があり,橋本病の既往がある.➡甲状腺原発のリンパ腫を考える.治療⒈外科治療(甲状腺摘出+頸部リンパ節郭清)⒉放射線治療(放射性ヨード内用療法・外照射)⒊化学療法(分子標的薬)甲状腺腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられる.ここでは主に悪性腫瘍について説明する.甲状腺に発生する悪性腫瘍は,主に甲状腺癌とリンパ腫に分けられ,甲状腺癌は主に乳頭癌,濾胞癌,未分化癌,髄様癌に分けられるが,それぞれの癌は異なる生物学的特徴をもっており,診断・治療する際は留意する必要がある.形状境界内部エコー均等性エコーレベル画像例〈分化癌〉良性腫瘍整(円形・楕円形)明瞭・平滑均質低〜高悪性腫瘍不整(不定形)不明瞭・粗雑不均質甲状腺腫瘍

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