病3-5版_web立ち読み用
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●正常な自己組織に対する免疫反応が起こり,正常な細胞が傷害される.●免疫チェックポイント阻害薬が免疫抑制機能を阻害すると,免疫が再び活性化し,がん細胞が排除される.●免疫抑制機能の働きなどにより,免疫を回避したがん細胞が増殖する.●神経障害●皮疹●腸炎・下痢●間質性肺炎●重症筋無力症など ❷ 当初は下垂体以外の異なる部位にIgG4関連病変が出現していたが,年月を視床下部下垂体疾患下垂体の炎症性疾患●頭痛・頭重感●全身倦怠感●低血圧 ̶●●●̶●●視野障害:visual fi eld disturbance ●リンパ球性下垂体炎:lymphocytic hypophysitis ●免疫関連有害事象(irAE):immune-related adverse event ●C反応性蛋白(CRP):C-reactive protein ●副腎不全:adrenocortical insuffi ciency ●全身倦怠感:general fatigue ●IgG4関連下垂体炎:IgG4-Related hypophysitis ●低血圧:hypotension ●強拡大(HPF):high power fi eld237この隙に…こんなつもりじゃ…止められない排除! 二次性下垂体炎の代表例 IgG4関連下垂体炎●IgG4関連疾患の1つである.中高年の男性に多くみられる.●IgG4関連病変は時間的,空間的に多発するので次の2つの経過が起こりうる. ❶ 当初は下垂体のみで発症していたが,年月を経て新たに下垂体以外の異なる Advanced Study 免疫チェックポイント阻害薬による下垂体炎●近年,悪性腫瘍の治療に免疫チェックポイント阻害薬が用いられるようになり,その副作用の中でも従来の抗がん薬と異なるものとして,自己組織に対する免疫反応の活性化に関連した副作用(irAE)に注意が必要となっている.●免疫チェックポイント阻害薬による下垂体炎もその1つで,医原性に下垂体炎をきたすものである.部位にIgG4関連病変が出現し,二次性下垂体炎と分類される.経て新たに下垂体に発症する.診断●本疾患は病理学的診断名であるので,原則として病理所見が必要である.●主症候と検査・画像所見はいずれも非特異的であり,病理所見が当てはまれば確定診断となる.下垂体機能異常の検査所見中枢性尿崩症に関する検査所見前葉炎後葉炎汎下垂体炎免疫回避〔病⑥p.30〕によるがん細胞の増殖免疫抑制免疫回避がん細胞副作用出現時の対応●irAEによる下垂体炎が出現した場合には,欠損したホルモンの補充療法を行う.●下垂体炎による全身症状が安定するまで,免疫チェックポイント阻害薬の休薬を検討することがある.疑い画像検査血清IgG4濃度所見●↑TTTTT-免疫チェックポイント阻害薬免疫活性化免疫抑制免疫チェックポイント阻害薬Ⅲ,Ⅳ,Ⅵ,肥厚性硬膜炎を合併した場合●視力・視野障害●眼球運動障害続発性副腎不全を合併した場合免疫抑制暴走An Illustrated Reference Guide写真提供:井下 尚子●炎症部位と一致してIgG4陽性形質細胞の浸潤がみられる.などほぼ確定確定他臓器病理所見下垂体病理所見陽性形質細胞浸潤陽性形質細胞浸潤免疫チェックポイント阻害薬による下垂体炎免疫活性化免疫抑制(参考)全身に起きるirAE●下垂体機能低下 ●甲状腺機能低下 ●副腎不全 ●1型糖尿病 ●肝障害 免疫チェックポイント阻害薬HE染色IgG4IgG4IgG4免疫染色ZZZ…

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