病10-4版_立ち読み
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+高低●静脈内投与された薬剤はすぐ血流によって運ばれるので,他の経路で投与したときよりも早く効果が現れる.●経口投与された薬剤は,通常は口から胃を通過して,多くが小腸で吸収される.●腸と肝臓で代謝され,大循環に到達したときには量が少なくなっている.●標的とする器官(眼,皮膚,気管支など)の局所濃度が選択的に高くなり,血中濃度は低く保たれる.●分子量:molecular weight ●脂溶性:fat-soluble ●吸入薬:inhalant ●点眼薬:ophthalmic solution ●麻酔:anethesia++●分子量の小さい(300〜600以下)薬物ほど胎盤を通過しやすい.●分子量が1,000を超えると胎●胎盤を通過するのは,遊離型の薬物であるため,蛋白(主にアルブミン)結合率が低いほど,胎盤を通過しやすい.●胎盤の細胞膜は脂質であるため,脂溶性の高い薬物ほど胎盤を通過しやすい.●分子量が非常に小さい場合,脂溶性でなくても通過できるが,分子量が600以上の薬物は脂溶性の程度によって,通過性が決まる.●イオン化していない分子型の薬物は脂溶性が高く,胎盤を通過しやすい.●イオン化の程度については,384An Illustrated Reference GuideAlbAlb 薬物の性質により異なる 薬物の胎盤通過性●分子量が小さいもの,血漿蛋白結合率の低いもの,脂溶性のもの,イオン化の程度が小さいものが胎盤を通過しやすい. 同じ薬物でも異なる 薬物投与経路による血中濃度の違い●薬物の母体血中濃度が高いほど胎盤を通過する量が多くなり,胎児への影響が大きくなる.●同じ薬物でも投与経路により,血中濃度が異なる.一般に,静脈内>経口>局所投与の順で母体血中濃度は高くなる.●したがって,胎児への影響が少ない投与経路で治療可能な製剤がある場合は,それが第一選択薬になる.小さい♪蛋白とくっつかない脂溶性が高い分子型(電荷なし)(例)インスリン,ヘパリン(例)ビタミンB,C,d-ツボクラリン,スキサメトニウム不安安心♪大きい蛋白とくっつく脂溶性が低いイオン型(電荷あり)胎盤通過性盤を通過しにくい.分子量血漿蛋白結合率脂溶性イオン化の程度薬物のpKaを確認する.投与経路静脈内投与経口投与局所投与胎盤を通過しやすい物質(例)経口血糖降下薬,ワルファリン(例)ジゴキシン,アンピシリン(例)ビタミンA,D,E,K,フェノバルビタール特徴血中濃度,胎児への危険度胎盤を通過しにくい物質気管支喘息に用いる吸入薬や,眼疾患に用いる点眼薬などは局所投与であり,使用しやすいです.また,妊娠中の麻酔にはできるだけ局所麻酔を用います.ただし,帝王切開での麻酔については,様々なファクターを考慮すべきで,一概にはいえません.産科医

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