病10-4版_立ち読み
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●播種性血管内凝固(DIC):disseminated intravascular coagulation ●急速遂娩:immediate delivery ●帝王切開(CS):cesarean section ●経腟分娩:vaginal delivery ●脳性麻痺(CP):cerebral palsy ●胎児母体間輸血症候群:fetomaternal transfusion syndrome ●羊水塞栓症:amniotic fl uid embolism ●早剝はDICに移行しやすいため,一刻も早い診断と治療が必要となる.●治療は胎児生存の有無,ショック症状の有無,DICの有無などにより次のような手順をとる.●本症により胎児死亡をきたしている症例では高率にDICを発症している.そのため米国などでは帝王切開は出血を助長し危険であるとし,経腟分娩が推奨されているが,日本では迅速さで勝る帝王切開が選択されることが多い.●どちらがより有効かについては明確なエビデンスがなく,『産婦人科診療ガイドライン 産科編2017』では,施設,DIC,患者状態によりいずれを選択してもよいとしている.●何らかの症状があるものは急速遂娩とする.●基本的には帝王切開を選択する.●子宮口全開大で,帝王切開を行うよりも早く娩出でき●同制度で補償対象となった脳性麻痺児のおよそ5人に1人は早剝が原因である.早剝の症状出現後から来院までの時間を短縮するために,妊娠30週以前の全妊婦に対して,初期症状について情報提供する必要性が問われている.*産科医療補償制度の補償対象は,「分娩に関連して発症した重度脳性麻痺」であり,在胎週数や出生体重などの基準を満たし,重症度が身体障害者障害程度等級1級・2級に相当する場合,また児の先天性要因および新生児期の要因などの除外基準に該当しない場合を補償対象としている.このため,分析対象は全ての脳性麻痺の事例ではない.●臍帯脱出以外の臍帯因子●胎盤機能不全または胎盤機能の低下●常位胎盤早期剝離 原因が明らかではないまたは特定困難 合計 ●感染124An Illustrated Reference Guide公益財団法人 日本医療機能評価機構 産科医療補償制度 再発防止委員会:第8回 産科医療補償制度 再発防止に関する報告書.公益財団法人 日本医療機能評価機構,2018,p.132より改変272178363011163431282726128641951165737226381,606 Advanced Study わが国の脳性麻痺の主な原因●産科医療補償制度で補償対象となった脳性麻痺児(2017年12月末までに公表された1,606事例)のうち,原因として多かった病態は,早剝,臍帯因子,感染,子宮破裂などであった.る場合は,経腟分娩が可能である.児生存急速遂娩子宮口全開大吸引・鉗子分娩**「複数の原因」については,2〜4つの原因が関与していた事例があり,その原因も様々であった.表では,常位胎盤早期剝離や臍帯脱出以外の臍帯因子など代表的なものを件数として示している.早剝の診断ショックがあったり,すでにDICと診断できていたりした場合は,まずその治療を行う.治療と同時にDICの評価を行い,DICであればその治療も行う.それ以外緊急帝王切開 ●臍帯因子  ●感染  ●子宮破裂 ●胎児母体間輸血症候群 ●児の頭蓋内出血 ●双胎における血流の不均衡 ●胎盤機能不全または胎盤機能の低下 ●母体の呼吸・循環不全  ●その他複数の原因** 重複あり児死亡児娩出帝王切開件数773■羊水塞栓 発症後,速やかに開始 治療胎児が生存している場合胎児が死亡している場合経腟分娩(オキシトシン併用)再発防止分析対象事例*における脳性麻痺発症の主たる原因病態主たる原因(単一の病態) ●胎盤の剝離または胎盤からの出血 ■臍帯脱出以外の臍帯因子■臍帯脱出■GBS感染■ヘルペス脳炎■その他の感染 ■羊水塞栓以外

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