病10-4版_立ち読み
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●播種性血管内凝固(DIC):disseminated intravascular coagulation ●低酸素症:hypoxia ●基底脱落膜:basal decidua/decidua basalis ●胎児機能不全(NRFS):non-reassuring fetal status ●出血性ショック:hemorrhagic shock ●胎児心拍数モニタリング:fetal heart rate monitoring ●妊娠高血圧症候群(HDP):hypertensive disorders of pregnancy ●前期破水(PROM):premature rupture of the membranes ●前置胎盤:placenta previa●胎児機能不全〔p.296〕●胎児死亡➡胎動を触知できない, ●外出血量は内出血量に比べて少量であることが多く,また外出血がないこともあるため,外出血量のみに気をとられる●重症例は臨床症状から容易に診断できるが,すでに胎児死亡や母体のDICへの移行が避けられない●DICが発生すると出血性ショックが増悪し,さらにこれがDICを進行させるという悪循環が起こる〔p.316〕.●母児の予後を左右するものは早期診断であり,症状が軽度であるうちに診断することが重要である.●軽症例の発症早期は,本症に典型的な“急激な下腹部痛”をきたすことは少なく,切迫早産と同様の●このため,切迫早産様症状をみたらまず早剝を疑い,胎児心拍数モニタリングで早剝を否定すること●早剝との鑑別が必要な疾患として,切迫早産の他に前置胎盤がある.前置胎盤では超音波検査にて胎盤が内子宮口付近に確認できる〔p.126〕.●顔面蒼白●苦悶様顔貌●出血性ショック〔p.316〕➡顔面蒼白,冷感●産科DIC〔p.318〕妊娠の異常常位胎盤早期剝離●腹壁の板状硬●下腹部の激痛●剝離面に一致した圧痛●子宮底の上昇●血性羊水●外出血(少量またはみられないことも)●発症初期は腹痛・性器出血・腹部緊満感といった典型例がそろうとは限らない.●「なんとなくおなかが重い」程度の訴えの妊婦もいる.●腹痛ではなく腰痛を訴える場合もある(後壁付着胎盤での早剝など).●子宮収縮や出血の状況を確認する.●胎児well-beingの評価が重要.まずCTGを,次に超音波所見を丹念に確認.●CTGでは遅発一過性徐脈を見逃さない.●超音波では胎盤後血腫(または胎盤の肥厚)〔p.122〕に注意する.●HDPや前期破水,早剝の既往など危険因子のある妊婦に対しては,本症の発3つのポイント119An Illustrated Reference Guide 典型例を理解する 重症例●重症例(典型例)は次のような症状を呈する. 切迫早産様症状をみて安易に切迫早産と診断しない 軽症例と早期診断➡出血症状,乏尿・無尿など胎児心音が認められない切迫早産様の所見症の可能性を常に念頭に置いておく.切迫早産と診断される妊婦は約100人に10人(そのうち実際に早産に至る妊婦は半数の5人).それに対して,早剝は約100人に1人に生じます.つまり切迫早産の症状を示した10人のうち1人は早剝が含まれていると言ってもよいくらいで,早剝は決してまれな疾患ではないのです.外出血量に見合わない重篤感止血のための子宮異常収縮胎盤後血腫(内出血)子宮腔への血液の流出胎児の低酸素血症と出血性ショックに気づくのが遅れることがある.ことが多い.症状(少量の性器出血,軽度の腹部緊満感や下腹部痛など)を訴えることが多い〔p.168〕.が重要である.特にHDPなどの危険因子〔p.121〕をもった例では注意を要する.軽度の腹部緊満感腹痛,上腹部違和感少量の性器出血●❶症状・身体所見を見落とさない●❷CTGや超音波所見をよく見る●❸危険因子をチェックする胎児心拍数モニタリング早剝を疑う!超音波血液検査産科医

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