病10-4版_立ち読み
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●常位胎盤早期剝離:placental abruption ●胎盤:placenta ●切迫早産:threatened premature delivery/threatened premature labor ●貧血:anemia ●胎児心拍数陣痛図(CTG):cardiotocogram ●基線細変動:baseline variability ●遅発一過性徐脈:late deceleration ●血腫:hematoma ●急速遂娩:immediate delivery ●帝王切開(CS):cesarean section ●吸引分娩:vacuum extraction delivery ●鉗子分娩:forceps delivery ●胎児死亡:fetal deathAn Illustrated Reference Guide●出血で生じた血腫がさらに周囲の胎盤を剝がす.●これにより血腫は一層増大し,母児ともに重●常位胎盤早期剝離(早剝)は産科DIC原因の約50%を占め,母体死亡●産科医療補償制度の報告症例によれば,わが国の周産期低酸素症によ●このため早期発見・早期治療が重要となる.●様々な発症誘因により,胎盤の基底脱落膜内に●母体の特徴的な症状は腹痛,少量の外出血,腹部緊満感である.●しかし全ての症状がそろうとは限らないので注意する.●治療が遅れると●母体の症状が著明であるとき,すでに胎児は重篤な状態になっている場合が多い.母胎児■■■age分類 Pわが国の教科書では,古くからPage分類として胎盤剝離面積と臨床症状を対応させた進行期分類が掲載されている.しかし実際の原著論文では,臨床症状に応じて,重症度を区分しているのみであり,胎盤剝離面積とは相関させていない.つまり,わが国の研究者が独自に胎盤剝離面積と対応させて原著の分類を改変したものが,「Page分類」という名称で広まってしまったのだと思われる.このため,教科書に掲載されている胎盤剝離面積と臨床症状を対応させた進行期分類を「Page分類」とするのは誤りである.placental abruption118O45.0 〜O45.9➡常位胎盤早期剝離と診断する.治療速やかに急速遂娩を行う.⒈緊急帝王切開⒉条件を満たしていれば吸引・鉗子などによる速やかな分娩⒊胎児死亡の場合,母体の全身状態や子宮口の状態に応じて分娩様式を決定する.⒋播種性血管内凝固(DIC),ショックがある場合は,先にこれらの治療を行う.⒌分娩終了後,子宮収縮不全で出血がコントロールできない場合は,子宮摘出を行う.正常位置(子宮体部)に付着している胎盤が,妊娠中または分娩経過中の胎児娩出前に子宮壁から剝離した状態をいう.発生頻度は全分娩の0.5〜1.3%である.母児双方に重篤な障害をもたらす危険性が高い代表的な産科救急疾患である.率ならびに胎児死亡率も高い.る脳性麻痺児のうち5人に1人は早剝が原因となっている〔p.124〕.篤な状況に至る.腹壁緊張(板状硬)腹痛外出血胎児心拍数モニタリングで遅発一過性徐脈などの様々な胎児機能不全(NRFS)の所見を示す.血腫増大〈胎児機能不全の徴候〉〈胎盤後血腫〉DICDICを招く. 母児ともに危険 常位胎盤早期剝離とは監 修金山 尚裕発症出血が起こる.切迫早産症状〔p.168〕出血胎盤進行例血圧低下,貧血,頻脈,ショック基線細変動消失,徐脈intro.MINIMUM ESSENCE❶初発症状は切迫早産に似ている.❷進行すると強い下腹部痛がみられる. 〈胎盤剝離〉❸外出血は少量またはみられないにもかかわらず貧血が進行. 〈子宮内出血>外出血〉❹子宮壁は板のように硬く(板状硬),圧痛が著明. 〈持続的な子宮収縮〉❺胎児心拍数陣痛図(CTG)にて,基線細変動の減少・消失,遅発一過性徐脈などを認める. ❻超音波検査にて,胎盤後血腫(または胎盤の肥厚)を認める. 常位胎盤早期剝離

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