❸血液検査で,貧血,白血球↑,CRP↑,赤沈↑,低蛋白血症などを認める.❹内視鏡検査や消化管造影で,非連続性・区域性(skip lesion)に, 縦走潰瘍,敷石像(cobblestone appearance),狭窄,瘻孔などを認める.❺生検組織学的検査で,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認める.●肉芽腫:granuloma ●回盲部:ileocecal region ●腹痛:abdominal pain ●下痢:diarrhea ●C反応性蛋白(CRP):C-reactive protein ●赤血球沈降速度(赤沈):blood sedimentation ●低蛋白血症:hypoproteinemia ●縦走潰瘍:longitudinal ulcer ●狭窄:stenosis ●瘻孔:fistula ●経腸栄養(EN):enteral nutrition ●成分栄養剤(ED):elemental diet ●完全/中心静脈栄養(TPN):total parenteral nutrition ●副腎皮質ステロイドは寛解導入,免疫調節薬は寛解維持に用いる.●抗TNF-α抗体製剤や抗IL-12/23p40抗体製剤を開始する場合は,結核の再活性化や発症のリスクを増大させるので,あらかじめスクリーニングを行い必要に応じて抗結核薬の予防投与を行う.また,B型肝炎ウイルス再活性化のリスクもあるため,投与開始前にB型肝炎ウイルス感染の有無を確認する必要がある.●MR enterography(MRE)は被曝がなく,診断やフォローアップに有用とされている.162非乾酪性類上皮細胞肉芽腫 〔p.162〕乾酪壊死を伴わない癒合傾向の低い肉芽腫.腸結核の乾酪性肉芽腫より小型で,類上皮細胞などの密度は低い.乾酪壊死 結節性紅斑 〔p.163〕下肢に左右対称性に生じる皮下結節で,感染症や膠原病などに伴ってみられることがある.通常2~3週間以内に自然消退する.難治性の場合は副腎皮質ステロイド投与を行う.短腸症候群 〔p.172〕Crohn病などに対して行われる小腸の広範囲切除により,消化吸収不良を起こす病態.成人例では残存小腸140~180cm以下になると起こるとされている.下痢や栄養不良をきたす.〔p.162〕結核結節の中心部に生じる壊死のこと.一見チーズ(乾酪)に似た黄白色,凝固壊死を示すため,こうよぶ.K50 ➡Cクローンrohn病を考える.治療 現在,根治療法はないため,寛解導入・維持による患者のQOLを高める⒈栄養療法: 腸管の安静と食事性アレルゲンを除去することが目的である.ことを目標にする.絶対的適応.症状を伴う狭窄,膿瘍,内瘻,外瘻などでは相対的適応.若年者に好発する原因不明の肉芽腫性炎症性疾患である.消化管壁は全層性に障害される.口腔から肛門まで消化管のどの部位にも起こりうるが,回盲部に好発し,非連続性に病巣を形成する.典型的には,腹痛,下痢,発熱,体重減少,肛門病変(難治性)などの症状を呈するが,根治療法はなく患者のQOL向上を目標とする.わが国では近年増加しており,2016年の難病情報センターの統計によると患者数は4万人を超えている.な合併症がある場合に行う.intro.MINIMUM ESSENCE❶好発:10歳代後半~20歳代❷(特に右下腹部の)腹痛や腹部腫瘤触知,下痢,発熱,体重減少,肛門病変(肛門周囲膿瘍,痔瘻など),アフタ性口内炎,関節炎(いずれも徐々に進行する)などがみられる.a.経腸栄養(EN):成分栄養剤(ED)や消化態栄養剤を用いる.b.完全/中心静脈栄養(TPN): 症状が重篤な場合や消化管狭窄などの重大⒉薬物療法a.アミノサリチル酸製剤:メサラジン(5-ASA),サラゾスルファピリジン(SASP)b.副腎皮質ステロイド:プレドニゾロン,ブデソニドなどc.免疫調節薬(チオプリン製剤):アザチオプリン,メルカプトプリンd.抗TNF-α抗体製剤:インフリキシマブ,アダリムマブe.抗IL-12/23p40抗体製剤:ウステキヌマブf.抗α 4β7インテグリン抗体製剤:ベドリズマブg.抗菌薬:メトロニダゾール,シプロフロキサシン⒊顆粒球〔単球〕吸着療法(GCAP/GMA)⒋外科的治療: 腸閉塞,穿孔,大量出血,中毒性巨大結腸症,癌合併では Crohnʼs disease監修山本 博徳Crohn病
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