がんみえ
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●組織型:histological type ●原発腫瘍(T):tumor ●リンパ節(N):lymph node ●遠隔転移(M):distant metastasis ●TNM分類:TNM classifi cation ●周術期:perioperative period ●リンパ節郭清:lymph node dissection ●再建〔術〕:reconstruction ●微小転移:micrometastasis●手術内容・術式は,がんの発生部位や病期によって異なるが,基本的には,❶臓器切除,❷リンパ節郭清,❸再建,の3要素から構成される.●遠隔転移をきたしたがん(ステージⅣ)に対しては,一般的に根治手術は難しいと考えられている.ただし,近年では効果的な薬物の開発や,適応症例の研究が進んだことから,一部のがんで条件を満たすものでは,転移巣を切除することによって生命予後が改善する(大腸がんで原発巣・転移巣ともに根治切除可能な例など).がんの治療手術療法●がんの組織型●局所進展度(T因子),リンパ節転移(N因子),●既往歴・併存疾患の有無(ある場合にはコントロール状況)●心機能,呼吸機能,腎機能,肝機能,貧血の有無などの評価*緩和手術を検討する場合には,手術による症状軽減効果を検討する.●治療の選択肢の提示●インフォームド・コンセント〔p.68〕●併存疾患がある場合,投薬内容の調整(特に抗血栓薬〔薬②p.241〕)●術前リハビリテーション〔p.184〕●手術直前の絶飲食〔p.74〕,腸管前処置〔p.74〕●栄養管理 ●除痛 ●術後リハビリテーション(早期離床など)〔p.184〕周術期●効果判定,再発の有無 ●合併症の観察,対応●周術期とは,術前,手術,術後(退院までとすることが一般的)の一連の期間を指す.●臓器切除に伴い生理的な構造を破壊してしまうため,食事・便などの通り道をつくり直す(消化管,尿管などの管腔臓器の場合).●リンパ節に転移した(可能性のある)がん細胞を取り除くため,リンパ節郭清を行う(リンパ節を1個ずつ切除するのではなく,血管,脂肪組織とともに一括切除する).●がんは肉眼的な範囲を越えて浸潤している可能性があるため,がん病巣だけでなく,正常部分を含めて切除する.●手術では,切除可能な範囲のがん細胞は取り除けるが,肉眼的・画像的に確認できない微小転移〔p.13〕による遠隔転移再発は防ぐことができない.微小転移に対しては,術前・術後に薬物療法〔p.104〕や放射線療法を組み合わせる集学的治療を行うことにより,予後を改善する.71An Illustrated Reference Guide がんと患者の両方を検査 手術療法のながれ●手術療法の適応は,がんの進行度,患者の全身状態(耐術能)を評価して決定する.●合併症〔p.74〕のリスクを可能な限り抑えるため,術中のみならず,術前管理,術後のケアが重要である. 治癒を目指す 根治手術●根治手術は,がん組織を全て取り除き,治癒を目指す手術である.リンパ節原発巣●❷リンパ節郭清切除可能か?*手術に耐えられるか?●❸再建がんの診断進行度の診断遠隔転移(M因子)の有無➡TNM分類,ステージの評価全身状態の評価治療方針の検討(手術適応の検討)術前管理手術術後ケア経過観察根治手術の構成転移に対する手術療法大腸がんでの例●❶臓器切除

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