薬4-1版_立ち読み
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●様々な薬物代謝酵素が豊富に存在する.●血流量が多いため,単位時間当たりに●生体内で最大の重量・細胞数を有する.高水脂溶性薬物は未変化体のままでは尿中へ排泄されにくい.薬物代謝酵素は経口薬を吸収する小腸上皮細胞にも多く存在します.一般に,経口薬が受ける初回通過効果〔p.109〕は肝臓における代謝の影響が大きいですが,小腸における代謝が重要である場合もあります.投与薬物脂溶性 ,薬理活性高未変化体代謝代謝物水溶性⬆,不活性化排泄一般に生化学の分野における“代謝”は,生体のエネルギー獲得(異化)や維持・成長に必要な物質の合成(同化)など,生体内で起こるあらゆる反応の総称です.一方,薬物動態学における“代謝”は,薬物や毒物といった,生体にとっての異物の構造を変換する過程を指します.薬学者運びこまれる薬物量が多い.薬学者薬物代謝酵素●全身に存在し,薬物を代謝する.肝臓words & termsスーパーファミリー Pharmacology vol.4 : An Illustrated Reference Guide〔p.105〕アミノ酸配列の類似性がほぼないにもかかわらず,立体構造や機能に類似性がみられるタンパク質のグループのこと.アミノ酸配列が類似しているタンパク質のグループはファミリーとされるが,ファミリーとスーパーファミリーの区別に明確な基準はない.102 異物を排泄しやすくする 薬物の代謝●薬物の代謝とは,体内に入った薬物の化学構造が酵素により変化する過程のことである.●脂溶性の薬物を極性化する(水溶性を高める)ことで腎臓における再吸収を防ぎ,薬物を体外に排泄しやすくする.また多くの場合,薬物は代謝により不活性化され薬効を失う(解毒).●代謝が阻害されると薬理作用の増強や作用持続時間の延長が生じ,副作用につながることがある.●薬物によっては,代謝により薬効や毒性が増す場合もある.このような,代謝を受けることで活性が強くなった物質を活性代謝物という.また,あえて代謝を受けた後に薬効を示すよう設計された薬物をプロドラッグ〔p.284〕という. 最も重要なのは肝臓 代謝が生じる部位●代謝反応は,肝臓,小腸上皮,腎臓,脳,皮膚,胎盤など,全身のほとんどの組織で行われる.●このうち肝臓は,様々な薬物代謝酵素が豊富に存在すること,血流量が多いこと,生体内で最大の重量・細胞数を有する臓器であることなどから,薬物代謝の場として最も重要と考えられている.●この他,腸内細菌も還元反応や加水分解反応を行っている.これにより,腸肝循環〔p.123〕が生じる場合がある.

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