➡●ジフルプレドナート:マイザー(軟,ク),ジフルプレドナート(軟,ク,ロー) ●ジフルコルトロン吉草酸エステル:ネリゾナ(外液,軟,ク),テクスメテン(軟,ク) ●クロベタゾールプロピオン酸エステル:デルモベート(軟,ク,ロー),コムクロ(シャンプー) ●ジフロラゾン酢酸エステル:ダイアコート(軟,ク) 略 語●フィンガーチップユニット(FTU):fi nger tip unit ●水中油型(o/w型):oil-in-water emulsion ●油中水型(w/o型):water-in-oil emulsion ●密封療法(ODT):occlusive dressing technique●ステロイド外用剤は,アトピー性皮膚炎の治療の基本となる薬剤である.●抗炎症作用の機序は内用剤・注射剤と同様である〔p.160〕.●外用剤では,内用剤などとは異なり,用量が不明確になりやすいため,使用法の指導は重要である.●FTUという単位で使用する.1FTUは径5mmのチューブから押し出される成人の人差し指の先から第一関節までの軟膏量である.●手をきれいに洗ってから,皮膚炎のある部位にだけやさしく塗り広げる.●手掌や足の裏など皮膚の厚い部位では入浴直後の皮膚が柔らかくなっているときに塗ると効果的である.●1FTUは両手掌に塗布するのに必要な量(約0.5g)である.これを元にして,1日何g程度使用するのが適切かを患者に指導する.皮膚の疾患と薬●水と油に乳化剤を加えたもの.●o/w型(水中油型,バニシングクリーム)とw/o型(油中水型,コールドクリーム)がある.●乾燥型皮膚疾患に適応.●べたつきが少なく,水で洗い流せる.●刺激性がある.●湿潤したびらん面には適さない.o/w型:親水クリーム(親水軟膏)w/o型:吸水クリーム(吸水軟膏)●分泌物を吸収するため,湿潤型皮膚疾患に適応.●容易に水で洗い流せる.●乾燥型,湿潤型皮膚疾患に●刺激性が最も低く,どのよう●べたついて使用感が悪い.白色ワセリン,流動パラフィン,プラスチベース,精製ラノリンアトピー性皮膚炎Pharmacology vol.2 : An Illustrated Reference Guidewords & termsフィラグリン 〔p.499〕角質の保湿成分の1つ.顆粒細胞のケラトヒアリン顆粒中に前駆体として存在する.角化の際にケラチンを規則正しく配列させ表皮のバリア機能を維持する作用も有する.アトピー性皮膚炎の病態には,フィラグリン遺伝子の変異によるフィラグリンの機能低下が関わる場合がある.タクロリムス軟膏デルゴシチニブ軟膏ネモリズマブ 〔p.500〕IL-31受容体のサブユニットであるIL-31受容体Aに結合する生物学的製剤.IL-31は主にTh2細胞から産生されるサイトカインであり,末梢神経に存在するIL-31受容体に結合すると瘙痒のシグナルが中枢に伝達される.ネモリズマブはこの伝達を阻害し,アトピー性皮膚炎による瘙痒を抑制する.瘙痒を治療する薬であるため,ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症薬を併用する必要がある.皮下注射で投与する薬剤であり,シリンジに充填された状態で販売されている.2023年6月より患者自身による自己注射が可能となった.〔p.500〕カルシニューリン阻害薬〔p.327〕.顔面・頸部で有効性が高い.過量投与により全身性副作用を引き起こす危険性があるため,用法・用量に1日2回,5g/回までという制限がある.また,びらん・潰瘍面には使用できないこと,一過性の刺激症状がみられることに注意が必要である.〔p.500〕JAK阻害薬.タクロリムス軟膏と同じく,用法・用量に1日2回,5g/回までという制限がある.また,免疫抑制作用があるため皮膚感染症部位には塗布しないよう注意する.5011FTU 1FTUをもとに塗布する ステロイド外用剤の使用 軟膏が最も用いられる ステロイド外用剤の剤形●アトピー性皮膚炎に用いられるステロイド外用剤の剤形には,軟膏,クリーム,ローション,テープがあり,症状の程度や部位,患者の使い心地などから剤形を選択する.●外用剤の組成は基剤,主剤(配合剤),添加剤からなる.基剤は主剤(ステロイド)が病変部に効率よく作用するために用いられ,添加剤は製剤の安定などの目的により加えられる.ステロイド外用剤は,大量または長期にわたる広範囲への使用により,全身に投与したときと同じ副作用が現れたり,下垂体・副腎皮質系機能の抑制をきたすことがあるため〔p.165〕,炎症に対して適切な量,期間で投与することが重要です.炎症症状の鎮静後,外用剤を中止する際には,急激に中止することなく症状をみながら漸減しましょう〔p.163〕.薬剤師クリーム(乳剤性軟膏)薬剤師+αもっとわかる剤形写真概要長所・短所主な基剤※ローションはべたつきが少なく,被髪部に使用する.テープは密封療法(ODT)に適しているが,浸潤面や被髪部には使用できない.外用量両手掌分軟膏油脂性適応.な皮膚病変にも適応.使用法水溶性マクロゴール軟膏は適応範囲が広く,あらゆる皮膚病変に使うことができ,最もよく使われている剤形です.●外用剤に用いる剤形の詳細については『薬がみえる vol.4』p.244を参照のこと.
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