●RAの治療は,薬物療法が中心となる.●必要に応じて,リハビリテーションやステロイド関節注などの保存的治療を併用する.●薬物療法および保存的治療だけでは不十分な場合,症例に応じて手術療法を考慮する.●自宅でのリハビリテーションや薬物療法中の感染症予防など,患者に対する指導も重要である.●寛解が難しい場合には疾患活動性をできる限り抑制することが目標となる.●このような目標の達成に向け,疾患活動性の評価と適正な治療を行っていく「treat to target(T2T)」が行われている.●RAには,疾患修飾性抗リウマチ薬(DディーマードMARD),NSAIDs,ステロイドなどの薬物を使用する.●DMARDは免疫機能に作用し,RAの疾患活動性を制御する薬である.疾患の本態である骨・軟骨破壊の進行を抑制するが,破壊に伴う疼痛などの自覚症状を直接的に抑制する効果はない.●そのため,NSAIDsや少量のステロイドを補助的に用いて,疼痛などの自覚症状のコントロールを図る.●メトトレキサートなどの免疫抑制作用のある抗リウマチ薬は,潜在性結核感染症の顕在化,B型肝炎再活性化,ニューモシスチス肺炎発症などを起こしうる.そのため,治療開始前および治療中は,これらの感染症の検査が必要となる.長期予後の改善無無❷構造的有有*ステロイドは,関節リウマチの初期において,関節破壊抑制効果を有する可能性も示されている.●従来型〔合成〕抗リウマチ薬(csDMARD)●分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARD)●生物学的抗リウマチ薬(bDMARD)略語●関節リウマチ(RA):rheumatoid arthritis ●疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD):disease-modifying antirheumatic drug ●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):non-steroidal anti-infl ammatory drugs ●NF-κB活性化受容体リガンド(RANKL):receptor activator of NF-κB ligand ●従来型抗リウマチ薬(csDMARD):conventional synthetic disease-modifying antirheumatic drug ●分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARD):targeted synthetic disease-modifying antirheumatic drug➡Pharmacology vol.2 : An Illustrated Reference Guide+αもっとわかる386病❻p.78 完治ではなく寛解を目指す RAの治療目標●RAの病因や病態は未だ明らかではなく,根治療法は確立していない.●RAの治療目標は完治ではなく,❶炎症反応と臨床症状の消失(臨床的寛解),❷関節破壊の進行抑制(構造的寛解),❸身体機能の維持(機能的寛解)の3つの寛解を達成し,維持することで,長期予後を改善することである. RA治療の中心 薬物療法の位置づけ 中心はDMARD 治療薬の概要炎症反応臨床症状(疾患活動性 )関節破壊の進行⬆身体機能⬇(日常生活が困難)(リハビリテーション,ステロイド関節内注射,装具療法など)不十分中心的治療薬(DMARD)疾患の本態骨・軟骨破壊炎症反応臨床症状(疾患活動性 )❶臨床的寛解関節破壊の進行⬇寛解❸機能的寛解保存的治療機能障害・変形が重度な場合など手術療法補助的治療薬●NSAIDs●ステロイド*●抗RANKL抗体RAと診断DMARDは骨・軟骨破壊の進行を抑制し,長期的なQOLを改善する薬物です.患者さんには,DMARDの効果発現に時間がかかることや,早期から服薬を続けてもらうことの重要性〔p.388〕を理解してもらう必要があります.薬物療法有効であれば継続する.治療目標を達成できた場合は薬物の減量を検討.不十分薬物療法の追加・変更薬剤師RA患者寛解とその維持(治療目標)高低++身体機能➡(通常の日常生活が行える)患者教育・指導随伴症状疼痛・腫脹など関節リウマチ治療薬
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