●糖新生⬆●糖取り込み⬇●食欲増進●NSAIDs 併用●潰瘍の既往●血糖値・HbA1cの上昇,尿糖(+)●多尿,口渇,多飲など●糖質コルチコイドの代表的な副作用と予防,検査,対策・治療のまとめを次に示す.●糖新生⬆,糖取り込み⬇による.●食欲増進作用や,遺伝要因などもかかわる.●不眠,多幸感,抑うつ,躁状態●発熱,咳,呼吸困難,腹痛,腰痛など●局所の発赤,腫脹,疼痛●心窩部痛,悪心・嘔吐●吐血,下血(タール便)●血圧上昇●中枢神経系への作用による(認知機能や情動に影響).●免疫抑制作用による.●細胞性免疫,液性免疫ともに抑制される.●NSAIDsとの併用,潰瘍の既往がある場合に注意.●胃酸分泌増加作用,潰瘍治癒阻害作用がある.●鉱質コルチコイド作用(Na貯留,K排出,水分貯留),レニン基質の産生増加などにより起こる.●糖質コルチコイド長期投与後に突然中止すると起こる.●長期間の視床下部-下垂体-副腎系の抑制による.●脂肪分解(血中遊離脂肪酸⬆)作用,血中VLDL⬆作用による.●血圧低下,発熱,悪心・嘔吐,関節痛,●血中脂質異常●胸痛,頭痛,麻痺など(動脈硬化の症状)●骨量の低下●腰背部痛,脆弱性骨折●骨形成⬇,骨吸収⬆,体内Ca低下などから骨量低下をきたす.inhibitorPharmacology vol.2 : An Illustrated Reference Guide略 語●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):non-steroidal anti-infl ammatory drugs ●プロトンポンプ阻害薬(PPI):proton pump +αもっとわかる164 糖新生亢進,糖取り込み抑制による 血糖値上昇●糖質コルチコイドの糖新生亢進,糖取り込み抑制作用により,投与中は糖尿病の発症または増悪をきたしやすい.●発症には遺伝素因や肥満なども関連する.●空腹時血糖は正常〜軽度上昇であるが,食後(特に午後)に著しい高血糖を呈することが多い. 長期投与で骨量が減少 骨粗鬆症●糖質コルチコイド投与中は,骨吸収の促進,腸管からのカルシウム吸収低下,骨形成の抑制などにより,骨量が低下する〔p.109〕.●1日投与量が多いほど影響が大きいが,少量でも骨折の危険は増す.●プレドニゾロン換算で5mg/日以上の糖質コルチコイドを3ヵ月以上内服する際には,ビスホスホネートの予防的内服を行うことが一般的である(骨への影響自体は投与開始後3ヵ月以内に始まっているという説もある). 多様な副作用とその対策を押さえよう 糖質コルチコイドの副作用のまとめ NSAIDsとの併用により増加 消化性潰瘍●糖質コルチコイド投与中の副作用として「ステロイド潰瘍」は以前から有名であるが,実際にはステロイド単独では消化性潰瘍を誘発せず,NSAIDs〔p.355〕との併用の場合に多く発症すると考えられている.●糖質コルチコイドは胃酸分泌の増加作用や,潰瘍の治癒を阻害する作用があるといわれる.●NSAIDsと併用する場合や潰瘍の既往がある場合には,NSAIDs中止,PPI〔p.359〕などの投与を検討する.主な症状●心窩部痛●悪心・嘔吐●吐血,下血(タール便)所見・症状代表的な副作用高血糖精神障害感染症消化性潰瘍高血圧離脱症候群脂質異常症,動脈硬化骨粗鬆症機序糖質コルチコイドの作用インスリン作用不足糖尿病の発症 or 増悪危険因子など全身倦怠感,頭痛など
元のページ ../index.html#10