薬1-2版_立ち読み
4/26

0高低0高低iβ1β1α1β2α1β2●アドレナリン(AD)とノルアドレナリン(NA)は,アドレナリン受容体サブタイプへの選択性が異なることから,循環,呼吸への効果が異なってくる.●実際には,薬物の投与量や投与速度,投与する患者の状態(病態に応じて交感神経の緊張度などが異なる)によって様々な反応が起こる.●アドレナリンは,代謝への作用として,肝臓でのグリコーゲン分解・糖新生の促進,脂肪組織のリパーゼ活性化による脂肪分解の促進といった働きももつ.●1回拍出量の増加により収縮期血圧は上昇する.●末梢血管抵抗が低下し,拡張期血圧は低下する(平均血圧はやや上昇).●末梢血管抵抗の上昇により,収縮期,拡張期ともに血圧が上昇する.●α1作用が強くβ1作用は弱い.β2作用はほとんどない.血圧(mmHg)●α1,β1,β2作用がいずれも強い.●α1作用により血圧が上昇すると,迷走神経反射〔p.29〕が起こり,M2作用により,心拍数は低下する.このときβ1作用はM2作用に打ち消される.心拍数(/mn)●β1作用により,心拍数が上昇する(心収縮力も上昇し,1回拍出量も増加).●α1作用で血管が収縮し,β2作用は非常に弱いため,末梢血管抵抗は上昇する.末梢血管抵抗●α1作用で血管は収縮するが,β2作用で拡張する.結果として末梢血管抵抗は低下する*2.●β2作用が弱いため,気管支への作用はほとんどない.気管支●β2作用により,平滑筋が弛緩し,気管支は拡張する.*110μg/minで静脈内投与の例.*2アドレナリンを投与した場合,α1,β2のどちらが優位に発現している血管であるかによって,収縮する血管(皮膚,粘膜など)もあれば拡張する血管(骨格筋など)もある〔p.33〕.ここではα1作用(血管収縮)がβ2作用(血管拡張)で相殺されて全末梢血管抵抗が低下した場合の例を示した.*3前の図では『グッドマン・ギルマン薬理書・第12版』(廣川書店)p.347〜350に準じて末梢血管抵抗が低下している場合を示しているが,臨床でアドレナリンの適応となる病態に対し,必要量投与した場合は,末梢血管抵抗は上昇する傾向にある.このため,本書におけるアドレナリンの効果は,低下から上昇まで,様々な場合があるとしている〔p.42〕.⬇⬆⬆⬆⬆⬆⬆⬆⬆⬆⬆⬆⬇⬆M2略 語●ノルアドレナリン(NA):noradrenaline ●アドレナリン(AD):adrenaline32180150120100906050参考:Brunton L,et al.(髙折修二 他 訳):グッドマン・ギルマン薬理書.第12版〔上巻〕,廣川書店,2013,p.347-350投与中*1上昇収縮期平均拡張期やや上昇低下上昇低下180150120906010050投与中*1上昇上昇収縮期平均拡張期上昇低下上昇受容体選択性の違いからくる αβ受容体刺激薬の作用アドレナリンとノルアドレナリンの比較アドレナリン循環動態の変化のまとめ薬 物アドレナリン⬇〜⬆*3末梢血管抵抗心拍数心筋収縮力心拍出量収縮期血圧拡張期血圧平均血圧ノルアドレナリン⬆⬆⬆⬆〜⬇⬆⬆⬆ノルアドレナリン

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る