薬1-2版_立ち読み
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●成人の腎臓は,長さ約10cm,幅約5cm,重さ約100gのソラマメ型の器官で,左右一対(2個)存在する.●尿は腎臓で生成され,尿管を通過して膀胱に貯留され,尿道を経て体外へ排泄される.●腎臓における尿生成の機能単位をネフロンといい,原尿を生成する腎小体(糸球体,ボウマン囊)と原尿の成分を調節する尿細管で構成されている.●尿細管は近位尿細管,ヘンレループ,遠位尿細管,集合管の4つの分節に分けられる.皮質髄質ネフロン●糸球体毛細血管内の血液が糸球体で濾し出され原尿となる.●糸球体の濾過膜には選択性があり,高分子や陰イオンは濾過されにくい(サイズバリアとチャージバリア)〔病⑧p.52,薬④p.114〕.糸球体濾過尿キミはいらない●血中に残っている過剰な物質を尿中に排泄する.尿細管分泌=尿尿●約1.4L/日 ➡腎盂へ繰り返し●糸球体で濾過された物質のうち,体内に必要なものを血液中に戻す.●濾過された量のうち,尿細管再吸収尿細管周囲毛細血管尿細管●約180L/日●電解質組成は血漿とほぼ同じ分 泌words & terms浸透圧 Pharmacology vol.1 : An Illustrated Reference Guide〔p.425〕ATP(アデノシン三リン酸)を加水分解する酵素の総称.生体では,その際発生するエネルギーを用いて,物質の能動輸送などを行っている.〔p.425〕水は半透膜を介して溶質の濃度の低い方から高い方へと移動する.このとき水の移動を阻止するために溶液に加わる力を浸透圧という.略 語●アデノシン三リン酸(ATP):adenosine triphosphate監修和田 健彦病❽p.67424ATPase 溶液の浸透圧溶液半透膜(水のみを通す)純水尿管腎盂膀胱へボウマン囊血流糸球体毛細血管原尿医師近位曲部近位曲尿細管近位直尿細管細い下行脚細い上行脚太い上行脚ヘンレループ(遠位直尿細管)遠位曲尿細管結合尿細管皮質集合管髄質集合管遠位曲部集合管体積にして99%が再吸収される. 尿生成の場となる 腎臓の構造 濾過・再吸収・分泌により生成される 尿生成の概要●腎血流の約1/5は糸球体で濾過され原尿となる.●原尿は血漿とほぼ同じ組成のまま,ボウマン囊を経て尿細管へと移動する.●尿細管において体内に必要な物質を尿中から血中に回収(再吸収)したり,逆に血中から尿中へ物質を排泄(分泌)したりすることで最終的な尿へとその組成を変化させていく.左腎・縦断面:動脈血:静脈血:尿水が入ってくる力腎動脈腎静脈糸球体での濾過は大ざっぱなので,生体内の体液バランスを保つには尿細管での再吸収・分泌が不可欠です.最初にざっくり濾過した後,再吸収・分泌を繰り返して本当に不要な物質を吟味していくのです.再吸収腎小体糸球体ボウマン囊尿細管糸球体係蹄壁必要な物質過剰な物質血液キミはこっち膜輸送体血液出てけ!利尿薬尿生成

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