薬1-2版_立ち読み
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●アドレナリン作動薬とは,交感神経系の作用を促進する薬である.●その作用様式により,直接型,間接型,およびその両方の作用をもつ混合型に分類される.●アドレナリン受容体にはサブタイプがある.受容体に作用するアドレナリン作動薬(直接型と混合型)では,薬物によって各サブタイプへの親和性(結合しやすさ)が異なる.●特定のサブタイプには結合しやすい(作用しやすい)が,別のサブタイプには結合しにくい(作用しにくい)という性質を受容体選択性という.●直接型アドレナリン作動薬は,受容体刺激薬(アゴニスト)ともよばれる.●薬として利用されているカテコールアミンには,アドレナリン,ノルアドレナリン,ドパミン,イソプレナリン,ドブタミンの5つがあり,表記のような特徴がある.●アメジニウム〔p.40〕●メタンフェタミン〔p.40〕 など●エフェドリン〔p.38〕●ドパミン〔p.39〕 など●アドレナリン〔p.31〕●ノルアドレナリン〔p.31〕 などαβ●アドレナリン受容体サブタイプは,α受容体の中でもα1とα2,β受容体の中でもβ1とβ2などのように細分類されており〔p.20〕,実際の薬物はこのレベルでの選択性で区別される(α1受容体刺激薬,β1受容体刺激薬など).●受容体選択性は,相対的なものであり,絶対的なものではない(例えば,β2に「選択的」な薬も,薬の量が増加すれば,β1作用も出現する)〔p.36,37〕.●受容体選択性の概念は,刺激薬だけでなく,受容体遮断薬(抗アドレナリン薬)でも重要である.oxidasePharmacology vol.1 : An Illustrated Reference Guide略 語●カテコール-■-メチルトランスフェラーゼ(COMT):catechol-■-methyltransferase ●モノアミン酸化酵素(MAO):monoamine 30交感神経作用促進直接型,間接型の両方の作用機序をもつ.選択的刺激薬α♥β♥解説アドレナリン受容体の生理的リガンド〔p.4〕(あるいは類似化合物)であるため.COMT,MAOにより分解されやすいため.腸管,肝臓に発現するCOMT,MAOで不活性化されるため.血液脳関門〔p.145〕を通過しないため. 交感神経系の作用を促進する アドレナリン作動薬の分類 結合しやすさが異なる 受容体選択性とは非選択的刺激薬α♥SUPPLEMENT薬としてのカテコールアミン監修医学: 渡邉 裕司薬学: 野澤 玲子直接型ノルアドレナリン受容体アドレナリン受容体に結合し,受容体を刺激・活性化して,細胞内反応を促進する.β♥特徴❶受容体刺激作用が強い❷作用発現が速い❸作用持続時間が短い❹経口投与では無効❺中枢神経への作用がない混合型交感神経終末に作用し,シナプス間隙の内因性ノルアドレナリンを増加させる.薬物として利用する際は,これらの特徴が欠点になることもあります.このため,カテコールアミンの構造を変化させ,作用時間を長くする,経口投与を可能にする,受容体選択性を高めるなど,種々の工夫がなされた非カテコールアミン系の薬が合成されています.間接型薬剤師アドレナリン作動薬総 論

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