薬1-2版_立ち読み
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●心臓,血管(動脈,静脈,毛細血管),リンパ系〔病②p.15〕からなる循環器系は,血液およびリンパ液を体全体に循環させることで,酸素(O2)や栄養素の運搬,老廃物の排泄に働く.●心臓は握り拳ほどの大きさの臓器で,胸部の中央に位置し,左右を肺に囲まれている.●心臓は,右房と右室(右心系),左房と左室(左心系)の4つに区切られている.●右心系と左心系は中隔(心房中隔と心室中隔)によって隔てられている.●弁は血液の逆流を防ぐ役割をしている.*断端を示す.words & terms不応期 陽性変時作用,陰性変時作用 〔p.71〕心拍数を変化させる作用を変時作用という.陽性変時作用とは心拍数増加,陰性変時作用とは心拍数減少をもたらす作用をいう.陽性変力作用,陰性変力作用フランク・スターリングの法則 〔p.307〕心臓の前負荷〔p.357〕が増加すると,心拍出量が増加するという現象.これは,静脈還流量が増加して心室が大きくなると,それに応じて心室壁が進展され,心臓の収縮が強くなることによる.心筋に特異的な性質であるlength dependent activation(心筋の収縮力は初期長に応じて強くなること)は,フランク・スターリングの法則に関与している.バソプレシン 〔p.307〕下垂体後葉ホルモンの一つで,抗利尿ホルモン(ADH)ともよばれている〔薬②p.121〕.腎臓の集合管のV2受容体に作用し,水の再吸収を促進する.これにより尿の浸透圧は上昇し,血液の浸透圧は低下する.バソプレシン受容体拮抗薬〔p.437〕であるトルバプタンは心不全,低ナトリウム血症の治療薬でもある.Pharmacology vol.1 : An Illustrated Reference Guide心筋収縮力を変化させる作用を変力作用という.陽性変力作用とは心筋収縮力増大,陰性変力作用とは心筋収縮力減少をもたらす作用をいう.〔p.304〕心筋細胞が興奮(活動電位を発生)後,再興奮できない時間帯のこと.過剰な興奮が伝わるのを抑えることができる.全く反応しない絶対不応期の後に,強い刺激があれば興奮する相対不応期が続く.略 語●抗利尿ホルモン(ADH):antidiuretic hormone 監修赤石 誠300病❷p.4心臓上行大動脈左房右房左室右室主な動脈の走行※静脈の走行については,『病気がみえる vol.2 循環器』p.13を参照.右肺動脈大動脈弓上腕動脈左肺動脈左冠動脈左肺静脈心膜*橈骨動脈総腸骨動脈大腿動脈肺動脈肺動脈弁左肺静脈僧帽弁心室中隔肺大動脈弓上行大動脈左肺動脈下行大動脈腎臓腎動脈 循環器系の中心 心臓の概観心臓の解剖■:動脈血(O2が多い)が流れる血管■:静脈血(O2が少ない)が流れる血管正 面上行大動脈上大静脈右肺動脈右冠動脈右肺静脈下大静脈断面(模式図)上大静脈大動脈弁右肺静脈三尖弁下大静脈循環器の構造と機能

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