ここみえ
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●精神疾患:mental disorder ●診断基準:diagnostic criteria ●操作的診断基準:operational diagnostic criteria ●信頼性:reliability ●国際疾病分類(ICD):international classification of diseases ●精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM):diagnostic and statistical manual of mental disorders ●精神症状:mental symptom●〇〇症の診断には〜〜〜〜という症状Aが必須である.●さらにB,C,Dの症状のうち,2つ以上を満たす必要がある.●これらの症状は,他の医学的な疾患でみられるものではない.●このような観察者による診断の相違を少しでも小さくする(信頼性を高める)ために,操作的診断基準が採用された.●〇〇症は思考や気分,行動の障害によって生じる疾患である.思考の障害にはA(症状)があり,これは××(原因)の結果生じる.気分の障害にはBやCが含まれる.行動の障害にはDがありうる.この患者はAとDがみられるので,〇〇症と診断します■B:〜〜〜〜〜 ■C:〜〜〜〜〜 ■D:〜〜〜〜〜ACDBBACD++●該当する症状を数えるなどの操作的な方法で診断が決まるた●疾患概念の受け取り方が医師によって異なり,診断が●診断基準に挙げられた症状のみが,その疾患にみられるもので●診断名は,同じ症状が出る状態の集まりにすぎず,また,各患者の個別の問題(重症度や現在困っていることなど)はカバーできないため,診断名だけでは治療を行うことはできない.●現在,国際的に用いられている精神疾患の診断基準として,国際疾病分類(ICD)と●このため,有病率や薬物治療の効果の比較などができ●DSM-Ⅲ(1980年)から操作的診断基準が全面的に採用され,ここから精神医学における診断の考え方が大きく変わった(精神疾患の医学モデル化).●臨床的にはアメリカでの使用を前提につくられている.●死因統計の国際的な比較のためにつくられた分類であり,社会的・文化的に異なる多くの国々で使用されることを前提につくられている.−*診断項目*社会的機能(仕事,学業,対人関係など)やその障害は,国や地域によって異なる.そのため,対象が広いICDにおいては,社会的機能の障害を診断項目には含んでいない.34精神医学総論 診断の不一致をなくす 操作的診断基準●従来,精神疾患には診断基準とよべるものがなく,各疾患概念を構成する症状や経過の特徴をまとめた説明文があり,観察者がそれに照らし合わせながらどの精神疾患が最も近いのかを判断し,これを診断としていた.しかし,この方法では同じ患者であっても観察者によって診断が異なる可能性があった. ICDとDSM 診断基準の種類この患者はAとDしかみられないので,〇〇症と診断できません医師精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)がある.監修古茶 大樹従来の精神疾患の診断医師従来の診断の問題点一致しにくい(診断の信頼性が低い).ない状態であった.対象者様々な社会・文化的背景をもつ社会的機能障害精神症状ICD(国際疾病分類)DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)操作的診断基準この患者はAとDしかみられないので,〇〇症と診断できません操作的診断基準の利点め,医師の主観が入りにくく,結果が一致しやすい.操作的診断基準の注意点はない.ある程度共通した社会的・文化的背景をもつ※研究志向性が高く,学会発表や学術論文においては世界的に用いられている(ICDを圧倒している).精神疾患の診断基準

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