●作為体験/させられ体験:made experience/controlled experience ●連合弛緩:loosening of association ●滅裂思考:incoherence of thought ●感情鈍麻:blunted affect ●感情の平板化:flattening of affect ●意欲低下:avolition ●会話の貧困化:alogia/poverty of speech ●思考の貧困化:poverty of thought ●社交性低下:asociality ●遂行機能障害:executive dysfunction ●注意障害:attentional impairment ●発症危険精神状態(ARMS):at-risk mental state ●寛解:remission●統合失調症の症状を,陽性症状・陰性症状,認知機能障害に大別して示す.1人の患者に全ての症状が現れるわけではなく,一人一人出現する症状は異なり,初発時と再発時で異なる症状となることもある.●陰性症状は急性期に存在しないわけではなく,陽性症状のために目立たないだけで,むしろ前駆期から陽性症状に先立って生じていることが多い.病期●統合失調症の長期的な経過は,症例によって様々であるが,急性期症状の●情報を処理・利用する機能が低下する.●言語性記憶障害●遂行機能障害〔p.347〕●注意障害〔p.347〕●疎通性障害〔p.78W〕●初発時にはすでに認められる.●生活機能や社会的予後と相関する.●正常な精神機能が減退・欠如する.●感情鈍麻・平板化〔p.89〕●意欲低下〔p.89〕●思考・会話の貧困化〔p.89〕●社交性低下〔p.89〕●持続的に存在し,慢性期に主体となる.●抗精神病薬の効果は限定的である.●異常な心理的体験が出現する.●妄想〔p.85〕●幻覚〔p.87〕●思考伝播,させられ体験〔p.86〕●連合弛緩,滅裂思考〔p.87〕●派手な症状で急性期に目立つ.●抗精神病薬への反応性が良い.統合失調症*DSM-5における病期の呼称.**前駆期に認められる軽度の異常,非特異的な症状から発症危険状態(ARMS)をとらえ,早期診断・介入することが試みられている〔p.92〕.●症状が軽快する.陰性症状,認知機能障害の程度は様々である.●明らかな陽性症状を認め,統合失調症と診断される.●診断基準を満たさない程度の軽度,あるいは非特異的な症状を認める.概要症状の強さ●急性期症状が目立たず慢性的に徐々に進行して機能低下をきたす例もある.●長期的には,約半数は完全または軽度の障害を残して回復するとされる.*発症時や再発時の急性期症状による精神機能低下の程度は実際には様々:慢性的に 進行する例:再発を 繰り返す例精神機能高低*791020304050 陽性症状・陰性症状・認知機能障害 代表的な症状 時期によって前景に出る症状が異なる 症状出現時の経過 再発と寛解を繰り返すことが多い 長期的な経過通常ないものが現れる陽性症状分類概要代表例特徴前駆期:陽性症状:陰性症状軽度の異常**正常欠陥状態発症後,最初の5年間が再発の頻度が高い.陰性症状や認知機能障害が残ることによって機能レベルが低下した状態を欠陥状態,それが重篤なものは荒廃状態とよばれることもありましたが,適切な呼称ではないとされています.通常できることができなるなる慢性期(維持期)安定期病状は安定再発徐々に再発の頻度が少なくなっていく(間隔があいていく).50歳以降,再発はほとんどなくなる.通常あるものが失われる陰性症状急性期(活動期*)安定化期(残遺期*)●陽性症状は軽快し,陰性症状が前景となる.陽性症状陰性症状再発と寛解を繰り返し,慢性に経過することが多い.発症認知機能障害統合失調症は月単位・年単位で経過する疾患で,陽性症状が出現し始めて急性期のピークに至るまでに1年程度あるとされます.振り返ってみると「なんとなくおかしかった」期間が数ヵ月以上あることが通常です.「ある日突然」「1週間前から」のように短期間で完成する精神症症状の場合は,外因性をはじめとした他の精神症を考えます.ほぼ完全に回復後遺障害を残す年齢
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