●統合失調スペクトラム症:schizophrenia spectrum disorders ●精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM):diagnostic and statistical manual of mental disorders ●統合失調型パーソナリティ症:schizotypal personality disorder ●陰性症状:negative symptom ●妄想症:delusional disorder ●短期精神症:brief psychotic disorder ●統合失調様症:schizophreniform disorder ●統合失調感情症:schizoaffective disorder ●統合失調症:schizophrenia●精神症の中核は統合失調症で,この他にも近縁的な疾患がある.●現在利用されることの多い診断基準の1つ,DSM-5〔p.35〕では,主な精神症を症状の種類・数,強さ,持続期間の異なる連続的(スペクトラム)な疾患群ととらえている.●なお,統合失調スペクトラム症には,精神症の他,パーソナリティ症〔p.244〕の1つである統合失調型パーソナリティ症も含まれる.●5つの領域に含まれる具体的な症状は各ページを参照のこと.●統合失調スペクトラム症に含まれる各疾患は,基準となる症状のうち,認めるものの種類・数,持続期間によって診断精神症/統合失調スペクトラム症*同じ診断名であっても個々の患者の重症度は様々で,統合失調症の中に軽症患者も存在する.●精神症ではなくパーソナリティ症の範疇だが,後に統合失調症を発症することもある.●妄想だけを認め,他の症状はなく,社会的機能は著しくは障害されない.●長期間持続●精神症といえるほど顕●❶のみ●なお,原因となる物質や医薬品,身体疾患の有無を調べ,外因性をまず除外〔p.10〕することが重要である.解説6ヵ月6ヵ月●陰性症状以外の基準症状を短期間(1ヵ月未満)のみ認める.●症状は統合失調症と同様で,●暫定診断でもあり,6ヵ月を超えた場合に統合失調症となる例もある.●統合失調症の基準を満たす症状に加えて,気分エピソード(抑うつエピソード,または躁エピソード)を認める.●半分以上の期間に気分エピソードが存在●❶〜❹のうち1つ以上●少なくとも1つは●❶〜❺のうち2つ以上●少なくとも1つは6ヵ月6ヵ月6ヵ月発症1ヵ月●6ヵ月以上(前駆期,残遺期を含む〔p.79〕)6ヵ月●統合失調スペクトラム症の中●統合失調症のみ,社会的機能の低下という診断条件がつけられている.77精神症 各診断を連続的にとらえる 統合失調スペクトラム症とは 症状の種類・数と持続期間 基準となる症状と各疾患の診断●DSM-5では,統合失調スペクトラム症を診断する際に確認する症状として,次の5つの領域を挙げている.発症1ヵ月●1ヵ月以上発症1ヵ月●1日以上,1ヵ月未満発症1ヵ月●1ヵ月以上,6ヵ月未満発症1ヵ月発症1ヵ月気分エピソード監修市来 真彦統合失調型パーソナリティ症パーソナリティ症各疾患の診断がなされる.症状の基準診断名統合失調型パーソナリティ症〔p.102〕著な症状なし妄想症〔p.102〕短期精神症〔p.103〕❶〜❸統合失調様症〔p.103〕統合失調感情症〔p.103〕❶〜❸統合失調症〔p.78〕統合失調スペクトラム症短期精神症妄想症統合失調様症統合失調感情症精神症基準となる症状❶妄想〔p.85〕❷幻覚〔p.87〕❸思考(発話)の統合不全〔p.87〕❹行動の著しい統合不全,またはカタトニア性の行動〔p.88〕❺陰性症状(情動表出の減少,意欲低下)〔p.89〕持続期間の基準統合失調症重症度*持続期間が短い.核となる診断である.低高統合失調スペクトラム症
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